つかぬことをお訊ねしますが、鏡を見て、セリフを真面目に読み上げてる?
基本を忘れないで下さいね。「匂い」はないけれど、聴覚と視覚を生かして
自分のうちなる感覚をたえず研ぎ澄ますことですよ、フフ。
といった風に「理論」を生かして行きましょう、なあんちゃって。
さあ、第2章の冒頭に入ります:
搭乗機がミネアポリス空港ビルを離れて動き始めた時、ジルは窓から外を
見つめた。彼女は心暖かくも、いい気持ちだった。あたかも日がな一日山で
楽しんだスキー後の晩の談笑のような気分だった。まさに健康で自信に溢れ
くつろいだ時と同じ感覚だった。
機体が動いていくにつれ、もう傾いてきた日差しが一瞬、きらりと窓から
差し込んでは、また遠ざかった。彼女には分っていた。見送る人々の中には
彼から遠ざかりつつある、この搭乗機をじっと見つめるトムの立ち姿がある
はずだった。
『さあ、今や問題は』と彼女は考え始めた。『お互い、どう一緒にやって
くかってことだわ。相手が初めて別の誰かさんと過ごした、と知ってても、
私たちは互いに平気でいられるかしら。片方が嫉妬しちゃったり、それこそ
相手より楽しんでたりしたら、二人はどうなっちゃうんだろう?そうだわ、
ミシガンの家に着陸するまでに、この問題こそ片付けておかなくっちゃ。』
「まあ、あれ以上にはないってほど楽しかったわ」つい大きく声に出して
しまって彼女自身ハッとした。『この変わり方にはびっくりしちゃうわね。
初めのうちなど、そんなのダメ、と私があれほど考えたの、思い出すなあ』
目を瞑ってジルは週末の日々を想起してみる。両脚の間に熱い感触が戻って
きて彼女は、あの興奮がいとも簡単に蘇ったために下着のじっとりしてきた
のに気がついた。
面識があるにしても、身体も馴染んでないし、ましてコックの経験なんて
皆無で、その意味からは最も肝心な点で実質的に『未知の人と過ごす週末』
という体験は、予期したのを越えて遥かに強烈な興奮ものだった。ジルは、
そう認めざるをえない。
※ ネッ、こうこなくっちゃあ、って感じでしょう?ウフフ。
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