オバサンが、こちらを向いたのは一瞬でしたが、その視線は私ではなく、助手席の妻に向けられていました。オバサンは、直ぐに前を向いて通り過ぎ、横断歩道を渡り終えて私達の前方に歩いて行きました。信号が青に変わり、私はゆっくりと車を進め、妻に「見て!さっきのオバサンがいるよ」と言うと、妻は上半身を起し、私の足の上に伸ばしていた足を助手席に戻すと横座りになって、前を向きました。通り過ぎる私達の車を、待っていたかのように、オバサンが振り向きました。「うぁー!目が合っちゃった」と妻が、私に笑って見せます。小さな港に着くと、「何か飲もうか?」と、妻に聞くと「そうね!」と妻も言うので私は、ズボンのポケットから小銭入れを出して、「はい、これ!」っと言って妻に渡します。妻が「えー、私が買うのぉー?」と言って、後部座席に手を伸ばしてGパンを取ろうとするので、「そのまま!」と私が言います。港内に、オレンジ色の街路灯が道路を明るく照らしています。左側に見える暗い市場は太い柱が立ち並び、その建物に沿って広い駐車スペースに、沢山のトラックが停まっています。右の歩道側には、いくつかの大きな冷蔵倉庫が建っていて、そこに自販機がありました。公衆トイレの灯りが見え、それを見た妻が「トイレに行きたい」と言うので「チョット待ってね」と言って、市場前の道路をゆっくりと進みながら、人が居ないかを確認して行きました。岸壁につきあたり道路が終わっていたので、Uターンして先程の公衆トイレの前に車を停めました。私が「さぁ、行って来て」と言うと、妻が「これで行くの?」と聞いて、歩道の向こうの公衆トイレの入り口に目を向けます。「大丈夫だよ、誰か来たら私が教えるから」と言うと、妻が助手席のドアを開けて、辺りを確認してからトレーナーの裾を両手で下げてトイレに行きました。私は、ドアにロックをして待っていました。しばらくすると妻が、トイレの入り口に顔を出し、辺りを見回してから車に駆け寄りました。助手席のドアノブに手をかけて(ガチャ、ガチャ!)と開かないドアに気付き、その場に屈みました。助手席の窓ガラスに顔を近付けて「早く開けて!」と小声で訴えて辺りを気にしています。私が助手席の窓を、半分程下げて「トレーナーを脱いだら、開けてあげるよ」と言うと「んもぉー!」と言って屈んだままトレーナーを脱いで「早くぅー!」と言うので「トレーナーを車に入れて」と言うと、妻が持っていたトレーナーを車内に
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