私は進行方向をゆっくりと変えました。簡易トイレの方に
向かい、一度河川敷から土手の階段を上がりました。
少し迂回し改めて河川敷に降りました。プレハブにゆっくり
足を進めました。足音を立てないようにリュックとコートを
置いてある場所に行きました。私は、荷物を手に取り
逃げるように早足でその場を立ち去りました。
予想もしていなかった出来事と寒さで理性も戻っていました。
そして、翌日の昼ごろに散歩をする振りをして、昨夜の場所に
向かいました。少し離れた場所から確認すると。
3つ並んでいたプレハブ納屋の2ヵ所の間にブルーシートが
掛けられた箇所がありました。冷静に思い出せば、もう一方の
開いている隙間の陰に私は居たのでした。物陰を感じたと
思った原因も分かりました。近寄るのが少し怖かったので
離れた場所から周辺を確認し、土手の階段を上がりその場を
立ち去ろうとした時でした。被さっていたシートから人が出てきました。
私はプレハブの方向を意識しないように早足で距離をとりました。
そして、振り返ると今歩いて来たばかりの状態を装い
土手の上を歩きました。シートから出て来た人は、ジャージを
着た男性でした。男性は、簡易トイレに入りました。
私は興味本位で観察していると、トイレから出て来た男性は
土手を上がりどこかに向かって歩き出しました。
後とつけてしまいましたが、男性はコンビニに入り買い物を済ませると
また、シートが掛かっていた中へ戻っていきました。
そして、私は夜になり暗くなると、昨日の出来事と
昼間に確認した事が頭の中で自然と浮かび上がってしまいました。
まだ飲んでいなかった私は、車で河川敷に向かいました。
河川敷に降りる道を通り少しでもプレハブが見える場所まで
車で近寄りました。距離は有りましたが、目視できる
位置まではたどり着きました。車のライトとエンジンを切りました。
時間が経つと、車の中も冷えきってきました。
私は車を降りて土手の上に上がり歩いてプレハブの方に
足を進めました。シートの中で明かりを点けているのでしょう。
シートの外に薄暗い明かりがもれていました。私は、昨夜
足を運んだ簡易トイレの中に入りました。それだけで
心臓がドキドキしました。そのドキドキした気持ちが
私を動かせました。足音を立てないようにプレハブに向かって
しまいました。
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