<<なぜ離婚・・・>>
なぜ離婚なのか。どういうことなのか、さっぱり俺には分からなかった。この7年の結婚生活でチエミに忍耐を強いるようなことをしてきただろうか。確かに、俺は年収ではチエミより低く、なんの能力も資格もない男ではあるが、平々凡々な平和の日々を過ごしてきたはずだ。その平々凡々な毎日に嫌気がさしたのか??
何も分からなかった。
とりあえずチエミの行動を辿ってみた。いや、あの頃は毎日毎日、何度も何度もチエミの行動と思考を辿っていた。
あの日、俺と喧嘩する。財布と携帯くらいの所持品で家を追い出される。いくあてがない。そして腹も立っている。俺に対する報復のために、警察に話をしにいこうと思う、警察の手で俺に注意をさせようとした。が、警察からは「DVシェルターに行かれては?」などと提案される。腹の立っているチエミはシェルター入りを受け入れる、会社にはコロナになったと長期療養を申し出る、そして頃合いがくる、例の代理人に話をする、代理人から離婚の提案をされる(あるいはチエミからしたのか)
そして離婚すると申し出、代理人がまず「穏便な協議離婚の実現」のために、まずは代理人が電話する、
こんなところか・・・・。だが問題はその後だ!!
俺からは離婚の意思がない。となると協議離婚が成立しない、民事裁判となる。・・・・くっそ、、この後の流れがわからん!この先どうなってしまうんだ!???
当時はこんな感じだった。
<<荷物をとりに行きたい>>
また数日後、代理人から電話があった。もちろん内容は離婚の申し出を受けるかどうかであったが、俺は「本人と直接話してないのでなんとも言えません」とだけ答えていった。
男「ではですね、チエミさんの要望でチエミさんが残している生活に最低限必要な物品をとりに行きたいのですが、いつ頃留守にされてますか?」
俺「留守なんて言わず、堂々と取りに来たらいいですよ。その時話しましょうよ」
男「まぁ、仰る気持ちもわかるのですが、今はまだお互い冷静にはなれてないとの判断なので、ご主人が仕事で留守の間に私が付き添ってチエミさんの荷物を取りますので、それではいけませんか?」
俺「いや、普通に話しましょって言ってるだけですよ?そもそも判断って誰の判断なのですか??」
男「まぁまぁ落ち着いてください。可能であれば留守の時が一番安全かと思ったのですが、、ではどうしても立ち会うというのなら私が立ち会いますがそれでよろしいですか?」
俺「だから、、安全って何なんですか?俺がx人鬼か何かだと想定してるんですか???」
男「いやそうではありませんが、実際にこういうケースでx人とか起きたりしていることも理解してください。そこはお願いしますよ」
俺「・・・・とりあえず金曜まではずっと仕事ですよ。午前中来たら誰もいませんよ。鍵は持っていってないから、要するに鍵をどこかに置いとけってことですか?」
男「そうしてくれると助かります。じゃ、鍵はポストに入れて出勤願えますか?私も同行しますので。」
俺「部屋の中まで入ってくるんですか?それって俺が入っていいと許可をしない場合、それって、不法侵入にならないんですか??!」
男「だから、あらかじめご主人に許可をいただいてるんです。」
俺「もぅわかりましたよ!!」
こういって俺は、しばらく鍵をポストに入れて通勤する日々が続いた。何度も待ち伏せてやろうかと思ったが、仕事をいつくるか来ないか分からない相手のために休み続けるわけにも行かなかった。
<<チエミのものがなくなる>>
3、4日後だったと思う。今日来るか、明日来るかと待ち侘びていたが、その時はやってきた。俺がいつも通り仕事から帰ると、玄関にまず、あるはずのチエミの靴がなかった。そして洗面所にある基礎化粧品類、あとは服数枚、ブラ、パンティ、そういった部類のものが一部を除いて持ち去られていた。俺の予想だが、持っていった量は海外旅行鞄1ケースにちょうど入るくらいの分量かなとも思った。
クソ・・・!!!!バカにしやがって・・・
それももう何も分からなかった。ただ、何も変わらなかったのは明らかに一方的であるということ。
気がつけば俺は行政、警察、その代理人から凶暴なDV野郎認定され、被害者である妻の身柄の保護のために、念には念を入れて入れて入れまくって、俺と妻を遭遇させないように最大の配慮を払って交渉してくる、そして後で問題にならないよう俺との会話もきっと録音しているのだろう。ことごとく、俺から許可をとってから行動に出ようとしていることが伝わってくる。
<<気が狂ってくる>>
俺は少しチエミの生活の痕跡が抜けた部屋に戻り、だんだんと正気さを失ってきた。
俺はこの頃から、毎晩のように見落としたのか洗濯機の中で持ち去られなかったチエミの数日前の生パンでヌキまくり、そうでもしなければ精神が落ち着けない状況になっていった。
俺が危険人物なんじゃない、お前らが俺を危険人物に仕立てようとしているんだ!!!というやり場のない気持ちでに何もできず、ただ自慰行為にふけるしかない状況が続いていった。
それから少し割愛するが、代理人からの離婚交渉の電話が何度かあった。そして俺は最終的には根負けしていき、「離婚は前向きに考えている。だが、条件がある。チエミと話をさせてほしい。会って話すのが一番いいが、どうせそれは無理っていうだろ?なら電話だけでも」と懇願するようになっていった。警察の取り調べで根負けし、やってない事実を認めてしまう冤罪ってこんな感じで成立するんだろなと今でも思う。
すると代理人は「じゃ、明日、ご本人に確認するのでご本人が問題ないと言えば、そうですね。。夜の19時にしましょうか?その時間ならご在宅ですよね?ご連絡するようにいたします」と言ってその日は電話を切った。
(やっとチエミと話せる・・!!!!)という安堵にも似たような気持ちと、(離婚を切り出されたらどうすればいい・・・)という不安が入り混じった気持ちに悩まされた。
<<電話>>
翌日、19時になると想定通り代理人からの電話がなり、そして何週間ぶりか、俺はチエミの声をやっと聞くことができた。長くなるので会話形式にはあえてしないが、とりあえずチエミの様子は落ち着いた感じで、まずこんな突拍子もない行動をとったことの謝罪と、こうでもしなければあなたの目は覚めなかった。ということ、そして今目が覚めてももう遅いんだけどね。という念押し、そして現在のシェルターでの生活は問題ない、最後に離婚話しという流れだった。
離婚理由は、今まで積み重ねてきた、①仕事行く、②休みの日は酒を飲む、③給料をその都度使い果たし、将来のために貯蓄などをしない④子供がいない今しかチャンスがない。これ以上は待てない(子供を作る希望を)つまり、ただ歳だけをとっていく生活に限界を感じた。あの時の喧嘩でピリオドが打たれた。吹っ切れた。
という理由だった。確かに俺にも思い当たる節はあった。ブラック企業に近い雇用形態だったので、家にいる時間は少なかったと思う。そして休みの日はどこかに連れていくわけでもなく朝から酒ばかり飲んでYouTubeばかり見ていたのも認める。そして夫婦共働きだから金があると錯覚し、浪費癖もあり貯金もしては来なかった。子供も・・・正直、真面目に考えたこともなかった・・・のかもしれない。
だが、何より・・・・・。
俺はそんな生活にチエミが不満を感じているとは思ってはいなかった。不満を感じているなら、夫婦喧嘩も絶えなかっただろうし、仮面夫婦のように関係も冷め切っていたと思う。俺はチエミと楽しくやっていけるだけで満足していた。だから子供も真剣に考えなかったんだろうと理由付けをしている俺がいる。
それにどんな些細な喧嘩があっても、最後は仲直りのHなんかもしていたし、今になって「積み重ねていた。限界が来た」などと言われても納得できるものではない。
こんな生活に不満を持っていたのなら、改善する責任はチエミにもあったのではないか。なぜ俺だけが一方的に悪者にされなければならないのか。
<<一ヶ月が過ぎた>>
この頃、俺は頭がイカれ過ぎたのか妙に冷静になってくる時代を迎えていた。きっと心理学の専門家か何かに俺の心理状態をチエミが出ていった後からカウンセリングをしてたら面白いデータが取れたのじゃないかと思う。
とにかく感情を前に出しても、代理人という壁が塞がってまともに交渉ができない。すぐに「このままだと夫婦喧嘩が再燃する」と逃げられるのは決まっていた。
そこで俺は、冷静になることにした。代理人からの離婚についての連絡がある度に、俺も代理人との電話交渉を録音し、酒も飲んでいない、仕事も順調である、チエミの意思を尊重する気になっている、友人知人に相談しても、今はそっと奥さんとは距離を置いて生活をした方がいいとアドバイスされる。などと俺は俺が落ち着いているアピールをしまくった。
すると代理人からチエミに電話を代わってくれる回数も多くなり、電話の中で冗談まで言い合えるような和やかな雰囲気にはなっていった。
そして今度は俺が切り出した。
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