青年刑事「えーとですね、この4月の6日の日ですね、夫婦喧嘩をしたと書いておりますが、この際に暴力とかー、そう言うのはなかったのですか?」
俺「暴力?そんなのありませんよ。一回もチエミを殴ったことなんてないです」
青年刑事「まー殴った蹴ったではなく、たとえば物を投げたとか腕を掴んだ、体を少し突いたとか」
俺「そ、、そりゃ結構激しい夫婦喧嘩でしたから、お前ちゃんと俺の話を聞けよ!くらいの感じで腕掴んだり、、と言うのはあります」
青年刑事「あのー、それもねぇ、、れっきとした暴力なんですよ。ご主人はただ口論の度がすぎてってとこだと思うんですが、腕を掴むとかはもう立派なDVなんです」
俺「はい、、、で、、家内はどこいるんですか?」
青年刑事「えー、、一応身柄はですね、一時保護シェルターで問題なく生活はされてます」
俺「一時保護シェルター??なんですかそれ?」
青年刑事「要するに家庭内暴力とかで緊急性の高い人を保護する場所なんですけどね、奥さんはそこにいらっしゃいます。」
俺「いつ帰ってくるんですか?」
青年刑事「それはーーー、奥さん次第ですね。奥さんの気持ちが落ち着いてから・・・ってとこですが、今はまず連絡をお待ちください。警察としても行政に手が離れていますので何もできません」
俺「はぁ・・・。で、、、連絡っていうのは誰からくるんです?」
ここで登場。ベテラン刑事
ベテラン刑事「それは、言えませんな。警察かもしれませんし、弁護士かもしれませんし、奥さんかもしれません。今はこれだけです。よろしいか?」
俺「・・・。とりあえず一時保護シェルターっていう場所にいるんですね。で、あとは連絡待ち、チエミの気持ち次第・・と」
刑事「そういうことです」
こんな塩梅だった。
そして俺は家に帰ってから、シェルターと言うもののシステムを調べまくったのは想像に難くない。。
<<DVシェルター>>
簡単に言えばシェルターとは、子供で例えるなら児童虐待があった児童を親から引き離して保護する施設の大人版と言っても差し支えないだろう。またシェルターには公的シェルターと民間シェルターといって、目的はDV被害者の保護だが、運営母体が違う。公的シェルターは最大に2週間しか居れないが、民間シェルターは最大で2ヶ月居ることができるなどと情報が曖昧でチエミがどっちのシェルターに行ったのかも分からず、とにかく不安で仕方なかった。
何よりも(そんなにシェルターに逃げ込むほど、、、チエミも怒っていたのか・・・酒に酔った上でのしょうもない夫婦喧嘩だったのに・・・)と、チエミの行動も理解が難しかった。
いずれにせよ、チエミはそのシェルターにいる。その点だけはまずは安心できた。だがシェルターの場所は公開されていない。場所は全く不明なのである。いつ連絡が来るかもチエミ次第。俺はただ待つしかないのだ。
わかっているのはこれだけだった。そして俺は不安と心配に駆られいろんな役所の相談窓口や弁護士の無料相談にも電話したが、どいつもこいつも俺をDV野郎扱いされるだけで、「奥さんの連絡を待つしかないですね」との一点張りで状況の進展はなかったのだ。
その間、俺はチエミが帰ってきたらすぐに元の夫婦生活に戻れるように部屋の片付けをしたり、チエミが過去に欲しいと言っていたあるキャラクターの特大クッションを買ったり、とりあえず俺は先に頭を下げて帰ってきてもらう予定でいた。この時気がついたことだが、俺は想像以上にチエミを溺愛し必要としていたのだと自覚している。
待てど待てど連絡が来ない。それから二週間と少し経過した頃の話だ・・・。
<<謎の男>>
プルルルルルルル
と俺の携帯電話が鳴った。相手は非通知であった。(もしかしたらチエミか???シェルターから電話してきたのか???)
俺「もしもし!!」
男「森田さんですね、えーと奥さんの件で少しお話ししたいことがありまして」
俺「そちらはどなた様ですか??」
男「えーと、今は奥様の代理人・・・としてお話しさせていただいております・・・・が、とりあえずご主人の方は今はお話しできますか?」
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