「お前も好きだったのか?その男のことが。」
「全然。それに毎日のように奥さんが面倒を見に来てたし。」
「ほ~、じゃ何でホテルに行ったんだ?」
それっきり、2時間以上も妻は青ざめた顔で黙っていました。
「もう終わりだな。」私は冷たく言い放ちました。でも、何故あんな男に抱かれたのか?知らずには諦められない気持ちでした。
「でも、何故ホテルに行ったか、正直に話して謝るなら、今回だけは許すかもしれん。」
もう、10年も前のことだし、後悔してるなら、一度だけの浮気なら、許そうと思ってました。
「あの人は特別室に半年以上入院してた。特にどこか悪そうなところはなかったけど、院長の知り合いだったみたい。」
「看護婦の扱いが上手くて、本当に看護婦に人気で、あんまり面倒を見すぎると、仲間で焼きもちやかれるような人だった。」
「それで、お前も好きになった一人って訳か?」
「全然、本当に。でも、半年以上ずっと可愛いな、綺麗だなって、言われ続けてた。それでも他の看護婦にも誰にでも言ってると思ってたけど、私だけだって分かって、急に気になる人になったんだよ。」
「そして、退院する前日に、どうしてもってデートに誘われて、じゃ、退院祝いってことでって食事の約束したんだよ。」
「それで?お前も美味しく食べられたんだな。嬉しかったか?」
「食事もあまり美味しくなくて、そのあと、帰りにホテル街で車を停められて口説かれたけど、もちろん断ったよ。」
「それで?」
「うん?それっきりだよ。食事に行ってご免なさい。」これで許されると思った妻は少し明るい表情になりました。
真面目な妻は、とんだ嘘つきでした。
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