当時がやってきました。帰宅後に再確認しました。
時間が来るのを待っていると、近くまで来たとラインが
届きました。嫁は家を出て迎えに行きました。
私は部屋に身を隠しました。玄関の開く音が聞こえました。
既に私の心臓はバクバクと大きく鼓動していました。
部屋に招き入れると、準備していた食事と飲み物を出して
二人の会話が始まりました。暫くは、部屋の様子を覗き
見る事無く二人が会話する声だけを聴いていました。
途中の連絡はラインを送る事にしていました。
時折、二人の確認をしたけど対面で座ったままでした。
私が見ている時に何かアクションを起こして欲しくなり
嫁に指示をしました。お互い着信音は無音にしていました。
送信後、足元に置いてあった嫁の携帯は点滅ランプが光って
いましたが、暫くして気付きました。「お皿を交換する振りか
空いた缶ビールを取る振りをして少しテーブル越しに
前屈みになってみて。」嫁は私が出した指示通りの行動を
しました。数秒でしたが前屈みになる体勢でした。
何か気付いたかな?反応がよく分かりませんでした。
部屋に入って1時間は経過していましたが、何も進展は
無く、嫁の笑い声が聞こえてくる程、楽しい会話をして
いるだけでした。そんな中、嫁から質問をしました。
私が指示をしたからではありません。「ところで、ケンさんは
何で私に声をかけてくれたの?」「簡単な話だよ。ダメ元で
アタックしただけ。」「だって既婚者なんだからダメ元って
無理だよね。」「そうだよ。初めは知らなかったからな。」
「そうなの。知らなかったんだ。」「それで、部長からも注意
されてさ。その時に知ったんだから。その後は、食事位なら
いいんじゃないかって思って誘ってはいたけどね。」
「ケンさん。今日は飲みましょ。」嫁は優しく声をかけました。
「けどさ~何で急に誘ってくれたの?転勤するからって
言ってくれたのは聞いたけど、もう諦めていたから。」
「う~ん。玲も少しは気にしてたからかな。」
「気にしてたって、断り続けた事?」
「そいう意味じゃなくて、何度も声をかけてくれたでしょ。
結婚もしてるし理性もあったから簡単にOKって言えなかった
けど、OKしようかなって思った事は何度も有ったよ。」
「本当か?それで今日は誘ってくれたんだ。ありがとう。」
「玲もケンさんの事を嫌いだった訳じゃないし。」
「好きって事?そんな事ないか。ごめんごめん。」
「好きっていうか、意識はするようになってたかな。」
「友達として?同僚として?違うと思うけど男として?」
「さ~どれかな。ケンさんはどの答えだったら嬉しい。」
「当然、男としてって言われたら嬉しいけどな。」
「じゃ~言うね。男としてだよ。」
「冗談だろ?嘘でも嬉しいけどな。」
「嘘じゃないよ。本当だよ。」
「分かった、分かった。本当にありがう。」少し半信半疑の
気持ちで嫁の言葉を受け取った言い方でした。
すると、嫁が立ちあがりケンさんの横に座りました。
「嘘じゃないもん。今日だって誘うの勇気いったし。」
「分かった。疑ってごめんな。」
二人の距離が急接近しました。境界線となっていた
テーブルはもうありません。嫁がおもむろに腰を上げ
膝立ちしました。ケンさんの後ろに回りました。
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