目が覚めたときには、窓の外からカーテン越しに陽が差していました。
目をこすりながら時計に目をやると、七時をまわったところです。
二日酔いなのか、若干の頭痛を感じながら目をこすります。
しかし、ドアの向こうから漏れ聞こえる妻の嬌声を聞いた瞬間、眠気が一気に吹き飛びました。
「嘘だろ」
私が寝入ってから十時間。行為が始まってからは十一時間以上経っているのです。
後から妻に聞いてわかったことですが、文字通り一睡もすることなく彼は妻を抱き続けたそうです。
私はリビングを出ると少し開いた寝室のドアに手をかけ、中を覗き込みました。
寝室の中にも朝日が差し込み、ベッド上の二人の姿がはっきりと見てとれます。
妻は、私ともほとんどしたことのない騎乗位で繋がっている最中でした。
仰向けに横たわった田中君の上に、妻が全身を仰け反らせながら跨っています。
「ああん、ああん、すごいーー、すごいのーーーー。壊れちゃうーーー」
田中君が腰を突き上げるたびに、妻の豊満な胸が、たぷんたぷんと音を立てるように勢いよく上下に揺れ動いています。
二人の周辺だけ、汗と妻の愛液でシーツの色が変わっていました。
「奥さん、どう、気持ちいい?」
「ああーーー、よすぎる、こんなの、こんなのはじめてーーー」
一晩中叫び続けていたのか、妻の声は掠れ、獣の唸り声のようです。
ベッドの脇には十個以上の使用後のゴムと、無数の丸まったティッシュが散乱していました。
「もっと突くよ、ほらほらほら」
「だめ、だめ、だめっ。またいっちゃう、いっちゃうよーーーーー、いっっっくーーーーー」
全身をビクッビクッ痙攣させて、田中君の厚い胸板に倒れこむ妻。
「また、いっちゃった?俺はまだ、まだだよ、ほらほらっ」
田中君は下から妻の尻肉を両手で抱え込むように鷲づかみにすると、休むことなく突き上げます。
「いやぁーーーー、ごめんなさい、許して、許してーーー。」
髪を左右に激しく振り乱しながら、そう絶叫する妻は涙声で、哀願するように田中君の首に両腕でしがみつきました。
次の瞬間に田中君が口にした予想外の言葉。
それは寝起きで弛緩していた私の全身に、冷や水を浴びせかけるような一言でした。
「奥さん、ご主人と比べて、どう?どっちがいい?」
妻の両肩をつかみ、引き剥がすようにして彼女の上半身を起こし彼が尋ねます。その表情は妻を征服した自信に満ち溢れています。
「だめーーー、そんな、そんなこと、言えないですーー」
涙とよだれで顔を濡らしながら、そう答える妻の表情は、抗いようのない大きな力に無理やり屈服させられえた被虐的な喜びに打ち震えているように見えました。
「言わないと止めるよ」
再びヒップを抱き寄せ、腰の動きを早める彼。
「いやーー、言う、言うから、止めないでーーー」
今や、妻も自ら腰を上下左右に振り動かし、その姿は暴れ馬に跨るロデオのようです。
「じゃあ、言って」
「はいっ、ああああーーーー、主人より、田中君のほうがいいっ。気持ちいいのーーーー」
「何が、どういいの?」
「ああああ、おちんちんが、おちんちんがいいのーーーー」
「ああっ、奥さん、おちんちんじゃわかんないよ」
「ううっ、意地悪っ。もう、これ以上は許して」
「だめだよ。ちゃんと、奥さんの口から、もっといやらしい言葉で、聞かせて。言わないと止めるよ、ホントに」
「嫌っ。言う、言うからーーー。お願い、止めないでーーー」
「なら、言って。ほら、言えっ、言うんだっ」
「ちんぽ、ちんぽが、ああ、またいくっ、田中君のちんぽがーーー」
「ああ、俺もいきそうだ、ちんぽが何っ?」
「田中君のちんぽが、主人のより、全然、比べものにならないくらい、おっきくて、すごい気持ちいいいのーーーー」
「あああああ、奥さん、いくいくいくよーーーーー」
「きてっ、きてっ、ああああーーーー、私も、いっくーーーーーーー」
私は、ドアに白濁液をぶちまけると、静かに寝室のドアを閉めました。
そのままリビングに戻りソファに横になると、再び強い疲労感に襲われ、まどろみながら意識を失いました。
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