計画といっても、取り立てて煩雑なものではありません。寝取られ体験談によくある手段です。
概要は、願望のある主人、この場合は私が、相手の男性に妻を抱いてみないかともちかけ、手ごたえアリとみたら妻を説得する、これだけです。
ただ、そこで私が少し考え込んでしまいました。説得する順番をです。
体験談を読む限り、どちらからもちかけても大差はないように感じましたが、それは、当然のことながら体験談が、両者の同意を得て成功しているからです。
つまり、これからことに臨む私としては、説得が失敗に終わった場合を想定しなければなりません。交渉が決裂するとどういうことになるのか、具体的に考えてみました。
まず、最初に田中君へ話を持ちかけた場合。これは拒否される可能性は低いような気がします。据え膳食わぬは、という言葉があるように、この種の話をもちかけられた男性が断る理由は、自分に置き換えてみても殆どないように感じました。問題は彼の真面目な性格が邪魔をして断られた場合ですが、その時は酔った勢いでの戯言として煙にまいてしまえば彼もそんなに気にしないような気がしました。
そこで、田中君の同意を得た後、妻の拒否にあった場面を考えてみました。これは十分ありそうです。この場合、私は田中君に妻の同意がとりつけられなかったので、今回の話はなかったことにしてくれ、と話さなければなりません。これはうまくない様な気がしました。田中君に対して、私の異常な性癖を暴露しただけに終わることになりますし、妻と田中君もこれまで通りの良好な関係を続けることは難しくなるでしょう。
次に、まずは妻の説得から始めた場合。これは可能性としては五分五分か、少し分が悪い勝負です。ただ、仮に失敗に終わっても私が頭を下げれば、その後の夫婦間の関係に大きな溝は残さないでしょうし、妻の了承を取り付けた前提で彼に話をすれば、彼が承諾する可能性も大きくなるような気がしました。
他にも、いろいろ細かいことを考え、悩んだのですが、最終的に最初の説得相手には妻を選びました。
話を切り出したのは夫婦生活の最中でした。
十分に時間をかけ、丁寧な前戯で濡れた蜜壷に、私自身を埋め込みながら、妻が声を上げるのを待って話を切り出しました。
「なぁ、由美、田中君のことなんだけど」
事前に何度もリハーサルを繰り返した、簡略かつわかり易さに重きを置いた、彼を交えての3P提案のプレゼンテーション。
「なんで?」
それまでは目を閉じて恍惚の表情を浮かべていた妻が、一瞬、間を置き真顔になると私を見つめ直し、そう問い質しました。
妻の反応は当然でしょう。
「セックスが原因で彼女と別れ、自信を失っている田中君を立ち直らせてあげたい。それに協力して欲しい」というのが、私の口頭弁論の主旨。
嘘はついていません。彼と最初に飲みにいったときに、そのさわりだけとはいえ聞いたことでしたから。
さらに、決して妻に対する愛情が冷めたわけではないこと。ただ、最近の二人を見ていて、あらぬ妄想を抱くようになり、初めは悩んだが徐々に興奮している自分に気づいたこと等を正直に告げました。
激しく拒絶されたなら、即座に撤退するつもりでした。
しかし妻からの意外な返答。
「こんなおばさん相手じゃ、彼が嫌がるでしょう?」
え?それって。それって、つまり「私は嫌じゃないけど」って言ってるのと同じことだよね?
この妻の一言に、私は脳天を撃ち抜かれたような刺激を覚え、挿入直後だったのにも関わらず一気に果ててしまいました。
乱れた息のまま抱き合いながら、私は妻の耳元に顔を埋めながら尋ねました。
「なら、彼が望めば構わないってことか?」
少し間を置いて妻。
「そういうことじゃなくって」
「じゃあ、どういうこと?彼がこのまま男としての自身を取り戻せずに立ち直れなくなっても構わないのかい?」
「そんなことないわ。私だって彼がそんなに悩んでいるなら、できることは何でもしてあげたいと思ってます」
「なぁ、由美、こんなこと頼めるのはおまえしかいないんだ。いくら妄想して興奮を覚えたからって、自分の大切な女房が他の男に抱かれることに抵抗がないわけないだろう?最初はソープにでも連れて行ってとも考えたけど、真面目な彼をそんな場所に連れて行くのはどうしてもはばかられるんだよ」
「ソープなんて、あなた、そんなこと考えてたの?だめよ、絶対。それはだめ」
「おまえだってそう思うだろう?だからさ」
「んん、もう。とにかく急にそんな話されても困るわ。少し考えさせて。」
妻は裸のまま私に背を向けると、頭からシーツを被ってしまいました。
「おやすみなさい」
妻の声に怒気の色は全くありませんでした。
これ以上ない手ごたえを感じた私は、早速次の日、田中君を飲みに誘いました。
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