そして4日間の夏の帰省が終わりました。帰ってきてから私は妻に全て親父から聞いたぞと伝えました。俺に隠れて3年間も親父と関係を持ったこと。その関係はまだ続いてること。
妻は驚いた表情を浮かべ、涙を流し始めました。妻は欲求不満だったこと、一回だけ、一回だけと自分で決めてもどんどんのめり込んでいってしまった事。次第に私の親父の事を1人の男性として見てしまうようになった事。妻から全てを打ち明けられました。ただ私との家庭は崩したくないと。離婚も出来ればしたくない。でももし私が離婚を望むのなら妻はそれを飲むと涙ながらに話してくれました。
私はそれから1ヶ月程今後のことを考えて結論を出しました。結論は離婚はしませんでした。娘のこともありますし、親父とは縁を切るという形で終わりました。あの年からは全く地元とは、実家とは交流は取っておりませんでした。しかし2年前です。2年前の初夏、お袋が亡くなり地元へと私、妻、娘で3人で久しぶりの帰省をした際のことでした。
「久しぶりやな。元気にしとったか。」
「まあな。前に言っただろ。アンタとはもう縁を切るって。息子の嫁に手を出すなんて正気の沙汰じゃないぞ。」
「すまんと謝ったじゃないか。また蒸し返すようなことをすな。どうだ。久しぶりなんや、俺の家泊まってきいや。」
「泊まらないよ。駅前のホテルもう予約したし。」
私は親父が強引に私達家族を泊めようとしてくるのを、拒否してその日は駅前のホテルで泊まることになりました。
葬儀が終わり仕方なく一度、実家へとお袋の荷物を置きに行った所相変わらずラフな格好をした京子さんがいた。妻と娘はホテルへと先に戻して、親父に会わせぬよう私は1人で向かいました。
「吾郎さんの息子さんよね。久しぶりやな。」
「どうも。」
「なんや縁切ったんやって?奥さん、吾郎さんに寝取られてもうて。」
煙草をふかしながら脚を組み土間で私に話をしてきた。そしてショートパンツのポケットからスマートフォンを取り出して、何度か画面をタップしてから私に写真を見せてきた。妻と京子さんが下着姿で体育座りしてる写真だ。
「よう撮れてるやろこれ。吾郎さんに見せてもろた?」
「いや、見たことないですけど。もう終わった話でしょ。その写真も保存してないでさっさと消して下さい。」
「じゃあこれも見たことないやろ。この写真なぁ吾郎さんのお気に入りなんやで。ウチとはこんな写真1度も撮ってくれたことあらへんのに。」
続けて見せられた写真は、畳の上で胡座をかいて座る親父に右腕を絡めて照れ臭そうにしてる妻サツキの姿だった。お互い服を着ていてどこもいやらしい写真では無かったが、私にはこの写真がとても印象強く残っている。
妻はカメラに左手を向けている。左手の薬指には私との結婚指輪が嵌められていない。替わりに妻が着けているのは私が1度も見たことがない別の指輪だった。
「正直、歳の差婚をした男と女にしか見えへんよねぇ。ウチが言うのもなんやけど凄いお似合いの2人だと思うわ。あのお祭りの日凄かったんやで。もうウチのこと放ったらかしで、2人で激しく求めあって。あれは凄かったわぁ…。」
確かにあれから今日至るまで私達家族と親父は一切関係はない。完全に縁を切った。ただ今もたまに考えてしまう。妻は私の知らないところで親父と繋がっているのではないかと。妻が今、本当に愛してるのはもしかして…。
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