その日は真由美ちゃんの天然振りも発動しませんでした。
もしくは、私が真由美ちゃんの天然振りに慣れて免疫が
出来たからなのでしょうか。話は、真由美ちゃんと出会った
日のことから2人で振り返るような思いで話になりました。
「大家さん。真由美と初めて会ったのは雨の日だったの覚えてる?」
「覚えてるよ。傘を貸したんだろ。」
「それで、お母さんと家に挨拶に行った。」
「そうだったな。裏の家が空いてるって言ったけど、本当に
真由美ちゃんが生活するようになるとはな。」
「高校生活も楽しかったし、時間もできて良かった。
母さんの負担も減ったから感謝してます。」
「どうせ開いてた家だから感謝される程の事でもないよ。」
「母さんから聞いたよ。」
「何を?」
「光熱費だけ自分たちで払ってくれたらいいからって
家賃をいらないて。真由美、その話先月初めて聞いたばかり。」
「そうか、聞いたのか。真由美ちゃんには言わない様にって
言ってたんだけどな。」
「真由美が悪いの。少しバイトもしてたけど、化粧品や欲しい物が
有って、毎回母さんいお金を出してもらってて。
母さんに叱られたけど、真由美もわがまま言ったと思う。
そしたら、大家さんの話を聞かされた。ありがとうございます。」
「なるほどね。けど、そんな事は考えなくていいから。
空き家になって誰も住んでないと家の管理も大変だから
俺としても助かったよ。ましてや、真由美ちゃんみたいな
良い子が住んでくれて。」
「大家さん。真由美が初めて大家さんに叱られて時の事
覚えてますか?」
「俺が真由美ちゃんを叱った?そんな事あった?」
「大家さんがお風呂に入っている時、真由美がした事。」
「ああそうだったな。あれは流石にビックリしたのと、まだ未成年の
女の子だったし、親から預かっている立場だと思っていたからね。」
そんな話も、なぜか半分笑って話していました。
「母さんの事も色々と気を使ってくれたしね。」
「自然とそうしただけだよ。」
「高校卒業してからも今日まで早かったなって思う。」
「そうかもな。気が付けば、もう3年以上経つな。」
「変わらないのは、大家さんも真由美も彼女・彼氏なし
って事?真由美は好きな人できたけどね。」
真由美ちゃんは、こんな冗談と言うか、話を柔らかく表現
できるんだ初めて感じました。なぜか私も笑いながら
「確かに。という事は、変わらないのは俺だけか?」
軽いボケを言える状態でした。
「そして、久しぶりに叱られちゃったね。」
「そうだな。けど、あれも流石にまいったな。叱ると言うより
真由美ちゃんへの躾だな。」
「怒ってなかったの?」
「怒るというより、ほかの場所で同じことをしてほしくなかった
から注意したって事だな。」
「また怒られてしまった。嫌われることばかりしてるって思ってた。」
そんな出来事までも冷静に話す事ができていました。
「そうだ。真由美ちゃんも色々と教えて下さいって言ったよな。
それなら、俺が躾から教えてあげる。真由美ちゃんは
まずそこからだな。話も聞きながらだけどな。それならどう?」
「うん。何からでもいいよ。真由美を躾けて欲しい。」
真由美ちゃんは上機嫌で大喜びしました。
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