夏休みも残り数日となった時、その数日間だけ真由美ちゃんは
自宅に帰省しました。ここに来てから初めての帰省でした。
私は、真由美ちゃんが帰って来た時のために新しい雑誌を
数冊ほど追加してあげました。もちろん私が先に愛読した雑誌です。
新学期もスタートしましたが、コロナによる環境は悪化していました。
完全に生活スタイルも変わってしまいました。月に数日だけ
会社に顔を出すだけになりました。月日が経つのも早いもので
11月に突入していました。少し気が早いとも思いましたが、
今回の延長期限は、年末までとなっていました。景子さんも
こちらに来る回数も減っていました。電話で予め年末以降の件で
電話をしました。更に延長となる事は予測していましたが、確認の
意味もありました。そして、正式に2年間の賃貸契約をしました。
この時点で私は、この2年間で起こる出来事は予測できませんでした。
プレハブに雑誌を置く回数が減りました。私自身も外出する回数が
減っていた事もあります。時間を持て余す私は、ある事を
思いつきました。プレハブの隅に部屋の中で使用する監視カメラを
設置しました。個人のパソコンで画像を確認しました。
雑誌を置いてある場所に焦点を合わせておきました。
カメラを設置して数日後でした。誰なのか明確になりました。
カメラの画像を再生しました。プレハブの扉が開く音がしました。
そして、中の小さな明かりが点きました。斜め上からの映像ですが
人影が映り鮮明に真由美ちゃんの姿が映っていました。
シートを捲り雑誌を選んでいます。2冊ほど手に取ると
着ていた服の中に隠しました。それまでは真由美ちゃんだろうと
考えるだけで確信は無かったのですが、その映像でリアルに
確信となったのです。私は、2回目のメモを残す事にしました。
「愛読してますか?例えば、何かリクエストありますか?
気になるページが有れば何か印を出来ますか?」
私は、この雑誌を持ち出し戻って来るのを楽しみに待ちました。
そして、真由美ちゃんが雑誌を持ち出す映像が確認できました。
メモを読んで、また反応してくれる事を期待しました。
今までプレハブまで確認をしに行っていたのが、カメラで
確認できるようになり簡単になりました。
真由美ちゃんの映像が映るのを待つだけでした。
待つこと数日。夜中に雑誌を戻しに来た真由美ちゃんが
映ったのです。私は、逸る気持ちを押さえました。
少し時間を空けプレハブに向かいました。ワクワクする
気持ちでシートを捲り一番上に置かれた雑誌を手に取りました。
便箋が挟まれていました。私は、雑誌を数冊持ち帰りました。
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