かすみは程なく妊娠した。元気な男の子が生まれ、2人の幸せは絶頂だった。私は浮気する気にもならずかすみと一緒になれたことを日々感謝した。それはかすみも同じだ。
そして私はそのうちに重要な仕事を任されるようになった。学歴を取り戻すがごとくがむしゃらに働き、常務に手厚くしてもらったことを実力でも掴んでやろうと働いた。
そして課長を経て総務部長になり、今は取締役になった。
手当てはもちろん結婚と共に無くなったが私はそんなことはどうでもよかった。社長になり会長になった彼を尊敬し、仕事でも私は彼に尽くした。
彼は私を仕事でも重用してくれ、私は高卒ではあり得ない大出世を遂げた。
私は幸せな家庭を築き、仕事と嫁とお金と家族に恵まれた。
かすみは過去のことなどなかったかのように良い妻となった。
そして先日会長が亡くなった。
私とかすみは大変悲しんだ。
人生を捧げてきた大物がいなくなった。しかし私は会社の取締役になれた。
仕事だけではなく、人生で何が大切かを教えてくれたのは会長である。
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