男はペットボトルに残っていたサイダーをコップに継ぎ足した。
男: アイツと何か話したのか?
彼女: 別に何も...
男: ふーん...
彼女の顔を覗き込む
男: で?どうだった?
彼女: 何がですか?
男: 何がじゃねーよ!やったのか?
彼女: ...何をですか?...
男: 何をじゃねーつってんだよ!!
彼女の腕を掴み無理矢理引き寄せる!
彼女: イタッ!やめてください!!
男: アイツとどんな風にやったんだよ?
彼女: 関係ないでしょ!
男を睨み言う。
男: オレとアイツとどう違う?ん?
彼女...そんなの...そんなの答える必要ないでしょ?
男: あるだろうぉ?あ?
男の右手が彼女の左ほほに添えられる。
男: 今日はその辺の話しをゆっくり聞こうかなぁ!
気味の悪い笑みを浮かべる。
彼女: やめてください!もう来ないでくださいって言いましたよね!?
男: あ?どの立場で言ってんだ?んあ??
彼女のほほにあった右手が胸ぐら掴んで言う。
彼女: もうイヤです!充分でしょ?
男: 充分かどうかはオレが決めんだよ!お前に決める権利はねえ!
彼女の目から涙が今にも溢れそうだ。
男: アイツの女房の職場どこか知ってるか?
彼女の顔が強張る。
男: 市民体育館の近くにある病院で看護師してんだぜ?知ってたか?
彼女: そ...そんなの知りません!
男: ちゃんと調べたんだよぉ~!いつでも、アンタの旦那は不倫してます!って報告出来るようによ!
彼女は青ざめ首を振りながら男の顔を見ている。
男: お前の職場も知ってるぜ!高速からよく見えるよな!あの老人ホーム!
彼女がまた男をビックリした顔で見た。
男: こんなのがバレたら慰謝料どれぐらい取られちゃうのかねー?
俯く彼女。
男は容赦なく続ける。
男: 職場に不倫がバレたらマジーよなー?ん?
彼女の目から遂に涙が流れる。
彼女: 何で?何でそんなこと言うの?あなたに関係ないじゃないですか!?
男: まぁ恨むならアイツを恨めよ!まともに運転も出来ねーバカをよ!
彼女: そんなの!彼は法定速度だったはずです!それなのに....
男: オレの前をチョロチョロ走ってっからだよ!バカが!
...?
この男...もしかして!?
ようやく思い出した!!
この男、この男は僕が彼女を送り届けている時に後ろから煽り運転をしてきて
無理矢理追い越して僕の車を止めた男だ!
運転席の窓をバンバン叩きながら大声で怒鳴っていた!
あの男だ!
サングラスを掛けていたから気がつかなかったが、間違いない!
あまりの男の威勢に僕も彼女も恐怖で、ただただ頭を何度も下げてやり過ごすしかなかった。
でも、なぜあの男が...?
彼女: 彼は謝ったじゃないですか!それなのに...
男: 前にも言ったが、オレはアイツに謝ってもらったことはねーよ!
彼女が男を怒りに満ちた表情で睨む。
男: で?どうすんだ?バラしてもいいなら帰るぞ?ん?
彼女は両手で顔を覆い泣きだした。
男: お前さ!こんな会話毎回してね?いい加減わかれよ!
ふざけた様に言う。
男: それによ!アイツにオレ達の関係もバレたらヤベーだろ?
彼女: そんなの彼は信じません!
男はふーんと言うような表情をしてさっきとは別の携帯を取り出した。
男: これ見てみろよ!この写真!
彼女の前に何やら画像を差し出した。
画像を見るやいなや彼女が
彼女: 何ですか?それ?いつの間に?
彼女の顔が引きつりまた青ざめた。
男: よく撮れてるだろ!?顔は写ってねーけど、この背中のシミで誰かわかるよなー?
彼女は腰の右に薄い500円玉ぐらいのシミがある。
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