嫁の携帯に電話をかけました。 数回の発信音の後、留守番電話に
切り替わりました。 もう一度リダイヤルしました。
数回の発信音。 また留守電になるのかと諦めた時でした。
嫁が電話に出ました。私は平常心を装いました。 それは、嫁も同じ
だったでしょう。 まずは一言、後輩君はまだ居るのか?そんな質問を
しました。 もう帰ったよ。 そんな事はない。 数分前まで電話で
声を確認していたのだから。 横で、後輩君も会話を聞いているに違いない。
私は変な事は言えませんでした。 気のせいか嫁の息が少し荒く感じました。
何故か私は、そうか、 帰ったんだ。 少しだけ飲んで帰るよ。 1時には
帰るから。 先に寝て居てもいいよ。 分かった。 私は帰宅時間を1時間程
伸ばす予告をしていました。 家は、もう10分も歩けば着く場所まで戻っていました。
私の歩くスピードは自然と速くなっていました。 家の前まで着きました。
私は勇気を出して、普段は出入りしない脱衣所にある勝手口から家に入りました。
恐る恐る脱衣所から顔を出し玄関先を見ました。 後輩君の靴がありました。
脱衣所にいる私には何も聞こえてきません。 家の中が静まりかえっていました。
私はスリ足で廊下の壁伝いに足を進めました。 リビング入口の壁に身を潜めました。
2人の姿が確認できませんでした。 リビング奥の和室に二人が居るのだと分かりました。
襖は閉まっていました。 私は、一旦外に出ました。 足音を立てないように裸足で
和室のある家の裏に回りました。 カーテンは閉まっていましたが、部屋に薄明りが点いて
いるのが外にこぼれる明かりで分かりました。 身を屈め和室に有る小窓の横までたどり着きました。
間違いなく何かが起こっている。 私は腰を上げました。 カーテンの隙間を探しました。
窓の中央にカーテンが重なっている場所に隙間を見付けました。 しかし、内側にも有る厚めの
レースのカーテンで視界が不鮮明でした。 それでも、暗さに目が慣れると少しは中の様子が
微かに見えて来ました。 抑えきれ無い興奮で、我慢が出来ず一旦その場を離れました。
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