約束の日。
みきは、浴室で身を清めると、裸のまま夫の元へ赴き、左手を差し出す。
夫婦の絆を見守って来た結婚指輪を外して、夫は新しいケースから取り出した指輪を、みきの指に挿し込み、キスをする。
暫く抱擁した後、みきは新しいケースに結婚指輪を収め、ドレッサーの引き出しに仕舞い込んだ。
(この家に帰るまで、私はこの人の変態妻になる)
みきは、心の中で呟きながら、夫が選んだ下着を身につける。
普段とは違う派手なメイクをした後、髪をおろして、みきは変身する。
家を出ると、みきは夫と腕を組み、恋人同士の様に車に向かう。
「おでかけですか?」
ご近所の奥さんに声をかけられ、みきは「今日はデートなんです」と、満面の笑みで応える。
夫の顔を覗き混むと、嬉しそうに笑っている。
みきの中で密かに抱えていた緊張や不安が弛み、期待が高まる。
(今日は、どんな変態男が相手なのだろう)
みきは、助手席で左手薬指にハメた指輪を眺めながら、
「今日は、どんな人なの?」
と訊ねた。
夫は、ネットでのやりとりを話始めた。
みきは話を聞きながら、夫が言いそうな指示を考えていた。
運転している夫の太ももに、みきが右手を載せると、夫は結婚指輪している左手をハンドルから離して、みきの手を包み込んだ。
「愛してる」
逞しい夫の左肩に、みきが頭を載せると、夫は黙ったまま、みきの右手を強く握りしめた。
車内に幸せな空気が立ち込めていた。
なんて、妄想してみました。
※元投稿はこちら >>