・ごめ、ごけ(後家雌)
・ちぎと(契床)
そんな事は出来るはずありませんが、今置かれている状況から逃げるには、実家と縁を切る以外になさそうです。
決心して私に言ったのでしょう。
私に諦める事を諭した妻の強烈な口調が、いつもの穏やかな口調に戻りました。
嫁いで来た妻にとっても、村の外ではこの風習を、違和感のあるものだとは、気付いていたはずですし、思春期の村の女性で無くても、後家女役のある村から逃げ出したい、悪習と思っていたはずです。
そして、それを私がどう受け止めるのか、。
その場では受け流すしか、、正直余裕は有りませんでした。
暫し苛立ちが、胸をかきむしりました。
過疎化で、対象者が居らず、久しく行われていなかった神事だと知った時、尚更私達夫婦の置かれた運命を恨みました。
暫く、私達は神事を拒否をする方法がないか模索しました。
しかし、法的に倫理的に色々考えても、大事に至らざるを得ず、結果、妻の実家との絶縁しか導きません。
「そればっかりは許して、。」と妻は、私に懇願しました。
離婚、、とさえ思いましたが、一時事変で、愛しい妻や子と別れる話しをする事さえ、とても耐え難いものでした。
最終的には、悲痛にも義父の電話がかかってきた時、私達は受ける事を決心せざるを得ませんでした。
数年振りの今回の対象者は、漁労長の血縁者らしく、妻の実家は、神事と風習を完遂しなければならない事情が尚有ると、涙ながらに義父は訴えました。
「申し訳ない、、申し訳ない、。」と電話向こうで頭を下げているのが想像出来ました。
私達夫婦は、この神事と風習に臨む事を決めました。
※元投稿はこちら >>