「あぁ、もぅ~!」
眼を伏せて、膨れっ面で反躰する妻。
背を向けても、氏長の奥様が、余程気に入ったシーンなのか、赤布団の端に遠慮がちにして、目一杯内股にした、その中心部分に舌を這わす、亮と言う青年の頭を抱えた自分の姿を否定する事が出来ない。
白巫女衣に着替えて、スマホを置いて、ほんの数分後の事だろう・。
「あぁ、」
写真の様な細かな描写に、息が止まってしまった。
「嫌やなぁ~、もぅ、本当に・。」
とうに過ぎた事を、保持繰り返されているのだから、妻にしてみたら堪らない。
私にすれば、想像しても、時間と共にうやむやにされた出来事が、思わず目の前に画として、鮮明に顕れたのだから、また堪らない。「あぁ、」
「駄ぁ目っ!」
「いいからぁ・。」
「もぅ!」
「一寸、待っ・て・。」
袖を引く妻をよそに、見逃したドラマの再放送で、テレビに被り着く妻や、目新しいお菓子を見つけ、売り場を離れない子ども達を、普段なら同じ言葉で引き離す私が、今は同じ言葉で反論している。
「もぅ!」
「(もぅ!)!?」
「えぇ!」
「何故・ ・期待していたんじゃあないか・・。」
「馬鹿・ぁ・。」
「前の日、スンナリだったじゃあないか・。」
「あなただって、興奮してた・。」
「そう・?か?」
「いつもより、(ずっと)起ってた・ぁ・しっ・。」
「お前が、[してっ・]って言うからだろ!」
「・・。」
「良ぃ出来じゃろ・!?」
水かけ論をする私達夫婦を他所に、気にする事など、まるで無い様な氏長夫妻だった。
「(秋の)彼岸に、神殿(の内扉)に奉納じゃ・。」
「 ! 」
「良かれ!」
妻のあられもない姿が、公開されてしまうのか・?
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