「えっ!? 氏長が? 何で!?」
村の呪縛から放たれて半年が過ぎ、秋の彼岸の頃、私達夫婦は、氏長夫妻の邸に招かれていた。
本来なら、仕切り親と後家雌とを招くのだが、仕切り親役の代理を永く、夫の私が通して居た為、夫婦して呼ばれるかたちになった。
寝耳に水だったのが、陰陽の儀で、契床の儀式を交わし、後家雌の明者としての役割を全うした妻と、陽者となった凌とを、お互いの奉納の勤めを、対面させて犒うとも聞いたのだ。
子ども達は、昨日から野外学習に泊まりで出掛けているので、取り立て心配は無いのだが、。
「あなた、ご免なさい・。」
振り返された事を誤る妻。「まったく・。」
氏長でなければ、この期に及んで、態々出向いたりしない・。
客間に通された。
「この節は、世話になったのぉ・。 伝わる倣わしを続けるのも、大変なもんじゃ・。 皆の協力が無ければ、成り立たんのじゃ、のぉ・、若いの・。」
「あ、いいぇ、出来る範囲で、。」
氏長に慕われ、慌てて返事をした。
悪い人では無い。 真剣にそう思っているのだ・。
「そこでじゃ、 今回のお披露目じゃ・。 わしが、丹精込めて描いた・。」
・・? 掛軸? 何・か?
掛軸の様な、巻いてある物を床の間から取り出し、漆塗りの光る机に拡げ様としている・。
「あんた! 止めておきなさいって!」
「・?」
氏長の奥様が、何やら乗り気では無い様に、掛軸の様な物をお披露目するのを、躊躇させる様に客間に入って来られた。
「そうか?」
「ええ」
奥様の顔を見上げてから、残念そうに私達夫婦を見つめる氏長・。
「あ! 是非拝見させて下さい!」
オーラとでも云うのでしょうか・。
「そうか・。 ほれ!」
「!!」
「イヤぁー!!」
凌にクンニされる妻が、表装されて、掛軸となっていた。
「良い出来じゃぁ・・。」
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