夕刻になって、神殿の間に通された私達夫婦は、神殿の扉を開帳して、御見式をして、その前で交わるのです。
仕切り親役が、後家雌の女性器を神様に奉納して、契床をする、童貞青年の相手の代わりに、云わばリハーサルをするのようなのです。
それは、前夜祭みたいなものなのでしょうか・。
神社の広間に上がりました。
妻も私も、もの凄く緊張しています。
義父母の嘆きや、妻が神事の相手をする青年や、その家族の期待。
私達夫婦の意識だけでは、どうする事も出来ない様々な思いに揺れて、二人とも身体がガチガチに硬くなっていました。
「この度は、おめでとうございます。」
車座に座って、装束姿の数人の氏子衆に囲まれて、浄めの御酒を頂きました。
数分間のなおらいでしたが、氏子衆は口々に昔の話しをして、私達夫婦の緊張を解すが如く努めて下さいました。
「私共も、まるで女っ気の無い時期、コレで男になれました・。」
「ココの野郎は、奥手ばかりで、契床無しには考えられない・。」
「有り難い制度です・。」
「凌が羨ましい、、こんな綺麗な人が相手で・。」
「俺ん時は、ばあちゃんだった・・。」
「旦那様、、決して悪気のある訳ではありません。」
「そうです。 どうか、村の若者の生来を思って、ご理解下さい・・。」
「時間も宜しい様で、どうか、恙無く・。」
神殿の間の戸を開けた時には、消えた氏子衆の後に、私達夫婦の靴が、お供え物と一緒に飾られていました。
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