タクシーで家へと向かっているときに携帯が鳴りました。妻からでした。
「ねえ~私をおいて帰るの~?」といきなりかなり呂律の回らない妻の声です。
「トイレを出たときあいつとキスしてたよなぁ」と少し声を荒げて妻に言うと
「あれは突然だったから」
「目を瞑ってあいつに身体をあずけていたよなぁ」
「けどあなたは私が口説かれるの見たかったんでしょ?」
「で?今まだ店にいるのか?」
「うん。今トイレから電話してる~」
「かなり酔ってるだろ?」
「酔ってるよ~だ。口説かれて欲しいって言うから演技していたのに。おいて帰るなんて冷たくない?あなたがいなくなるからもっと凄いことを・・・・」
「えっ?もっとすごいこと?」
「ひ・み・つ・。結構感じいい人なんだ~。このままホテルまで行っちゃおうかな~」
「勝手にすれば」売り言葉に買い言葉。腹が立っていたのでつい出てしまいました。ここが引き返す最後の機会だったことを後になって思い知らされました。
「勝手にするわ。もし何かあっても怒らないでよね」妻がキレたようなマジ声で携帯をきりました。
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