私は何もなかったかのようにごく普通に「お帰り」と。
「・・・・・」妻は俯き私の顔を見ようともせずに無言のままコートを脱いで浴室へ。
「心配したよ」浴室のドア越しに話し掛けるも、中からはシャワーの音だけが。
私もこれ以上話せなくなって立ちつくしていると妻の嗚咽がシャワー交じりに聞こえてきた。たとえ、妻がホテルに行ったとしても、言い出したのは私だし、おいて帰った私が悪い。優しく慰めようと浴室のドアを開けると、「いや、入らないで」妻は手で身体を隠すように座り込み号泣してしまいました。そんな妻を抱きしめずにはいられませんでした。
私は、ただ、ただ、妻が私のもとに帰ってきたことが嬉しかった。妻の身に何が起こったかは問題ではない。あの長い夜の不安と葛藤に比べると何でも許せるような気がしました。
私の腕の中で妻が絞り出すように小さな声で「ごめん」と一言。
「いや、謝るのは俺の方だ。美雪は悪くないよ」私は妻の身体を優しく包み込むように抱きしめました。
肉体的にも精神的にも疲れ果てた妻は寝てしまいました。
妻の寝顔を見ながら、自分の性癖が招いた結果に本当にすまないという気持ちでいっぱいでした。それと同時にあの男と何があったのか気になってしかたありませんでしたが、真相を妻に聞く勇気はありませんでした。
ここで、終わらせて頂きます。長々と、取り留めのない文章で申し訳ありませんでした。
実は、どうしても知りたかった私は先週の水曜日に常連であろうあの男性に会いにあのバーに行ってきました。
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