暫く、嫁と男の会話を携帯越しに聞いていました。
「また何かあったの?」・「いえ」・「今日はどうしたの?」
「時間あれば話だけでもっと思って」・「旦那さんは?」
「結局、明日帰って来ることに」・「そなんだ」 男は、私が
まだ帰ってきていないと嫁から聞いた途端、一方的に話を始めた。
「それって、おかしいな。 可愛い嫁さんがいたら帰ってくるよ」
「前にも言っただろ、男って外に出たら何をしているか分からないよ」
「特に出張だろ。 そんな時は、羽目を外すからな」
「もしかして、今頃は分からないよ。 心配なんだろ。」
「こんな可愛い奥さんを置いといて、可哀想だよ。」
男は、勝手な事ばかり嫁に話していました。 その後も、男は信用
出来ないとか、嫁から聞いていたであろう愚痴の内容も含めて嫁を同情
するかのような話ばかりでした。嫁も時折「うん」と返事をする声だけが
聞こえました。 男は、何かに付けて「可哀想に」とか
「気持ち分かるよ」という言葉を使い嫁に話してました。
聞いていて、嫁の気を引くつもりで言っているのか?と思いました。
つみりではなく、気を引こうとしてます。 私が聞いていても嫁が辛くなる
ような事ばかりを嫁に話していました。 男に返す嫁の声も次第に
泣いているかの様な声に聞こえました「そうなんですか? 私の旦那も?」
「信じられない事もあるけど。」フロントから見える嫁の顔は下を向いていました。
嫁も携帯で、私に話を聞かれている事を知っているので無口になっていたかも
知れませんが、何も知らない男からは平気で嫁の事を話し出しました。
「男だけが、好きにしていい世の中だからな。」
「女も外で、遊べるといいのにな」
「今では、ホストクラブもあるけど、チョット違うよな」
「男なんて、欲求を発散する店が沢山あるし」
嫁をその気にさせる言葉ばかりが連呼されました。
何を勘違いしてるのか「俺で良かったらいつでもいいから」
「我慢はよくないよ」・「本当は、今日も。違うの?」
「よそでは言えない気持ち分かるよ」・「こんな事、言えないよね」
「昨日も嬉しかっただろ」・「その前だって。」・「皆、秘密は
あるよ。 黙ってたら二人だけの秘密だよ。」・「それとも、こんな
事を知らない人に言える?」急に嫁のすすり泣く声が聞こえて来ました。
男が言った「この前だって」どう言う意味なのか?「二人だけの秘密…」
それは理解出来た。 嫁の泣く声。 男の言った言葉の意味を頭の中で
整理している間も男は嫁に同情とは取れない嫁の気を引くだけの
会話になっていました。「泣かなくていいよ」車の中では、男だ嫁の頭を
撫でていました。「我慢しなくていいよ」嫁の顔を覗き込むように話しかけて
いました。 嫁の顔に男の顔が近づきました。 携帯で話を聞かれている事。
ブロック塀の向こうから私が見ている事を知っている嫁は、男を拒む仕草をしました。
男は、そんな嫁の方に手を回し抱き寄せました。 「チョット待って下さい」嫁が男を
軽く突き放しました。泣き声で「やっぱり、いけない事だと。」すると男が
「本当にいいの。 我慢できるの?」・「欲しいって言ってたの覚えてる」
「二度と、こんな事が出来ないかもしれないよ。 それでいいの?」嫁の心を揺さぶるような
事ばかりを嫁に投げかけました。嫁の返事はありません。 嫁の返事が無い事を
いことに、男が嫁をまた抱き寄せました。 すると嫁が、「一言だけ言わせて」
男にそういいました。「何がいいたいの」そると電話から聞こえてきた嫁の言葉は
「あなた、ごめんなさい。」でした。「いいよ。ご主人に謝るんだね。」そういうと
男は、嫁が来ていたシャツの中に手を入れました。 フロント越しに見える嫁の顔がブロック塀の
フェンスに隠れている私を見ている様に感じました。
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