次の土曜日を私は緊張と興奮が入り交じる不思議な状態で迎えた。朝からシャワーを浴び、入念なメイクでお気に入りのワンピースに身を包んだ妻を見て、次男は
「ママけっこう美人だったんだね~」とニコニコしながら言った。長男はポカーンと口を開けていた
「今夜遅くなるから、パパと焼き肉にでもいってね」
「やったー!」子供達は無邪気に喜んでいた。だが私は後悔の念でいっぱいだった
「あなた、いってきます」妻の目の奥に強い意志が感じられた
それからの時間はとても長く感じられた。
「ねぇパパ、次お姉ちゃんいつ来るの~」
次男がソファーに座る私のそばで言った。
「そうだよ、僕早く勉強教えて欲しいな」と長男。
「仲田さんだって都合があるから」私はなんとか妻から頭を切り換えて答えた
「美咲さん、彼氏もいないし、週末暇だって言ってたよ」長男が下の名前で呼んだ時、ドキりとした
「お兄ちゃん電話番号知ってるんでしょ、かけてみれば~」
「パパ焼き肉に誘ってもいいよね」私は言葉がなかった。
「よし、電話するね」長男は否定しない私が了承したと捉えたようだ
「パパ、1時間後に美咲さん来てくれるって」長男は満面の笑みだ。家族がバラバラになってしまう気がした。私の行動が招いた結果なのだが…
「すいません課長、おやすみなのに焼き肉に誘っていただいて」はじけんばかりの笑顔で仲田さんが訪ねて来た。
「美咲さんこんにちは」
「お姉ちゃん」子供達が抱きついた
「ふたりとも元気だった~」子供達に頬ずりする仲田さん
「こちらこそ申し訳ないね」子供達の面倒を見てくれるだけでもありがたい。私は妻の美紀のことで頭がいっぱいだった。
焼き肉店について私はトイレで祐子さんにメールした。
「美紀の様子を教えてくれないか?」すぐに返事がきた
「西村に抱かれる決心が付いたみたいよ」私の膝がガクガクと震えた。身体中の血液が逆流するかのような興奮に襲われた
「よろしく頼む」私は返事を待たずして、席に戻った。仲田さんと子供達は楽しそうにはしゃいでいた。
焼き肉から帰ると次男はゲームを始めた。長男と仲田さんに勉強を見てもらうと言ってふたりで部屋に向かった。私はリビングで新聞を広げたが記事は全く頭に入ってこない。気がつくと夜になっていた。何度か祐子さんからメールが来ていた
「西村到着」
「あたし二時間ほど外に出ます」
「戻った。ふたりとも疲れた感じ」
「西村が帰った」など1時間おきにメールをくれていた。
「報告ありがとう」
「美紀これから帰ります」午後8時を過ぎていた
「課長、帰ります。ごちそうさまでした」仲田さんが声をかけて来た。
「ありがとう、すまなかったね、子守をしてもらっちゃって、送って行くよ」
「勇樹くん達に送ってもらいますから、課長お疲れのようですし」
「そうかい、気をつけて」私はソファーに深く腰を下ろした。子供達と仲田さんが玄関から出る音がした。すぐさま祐子さんにメールした
「何か証拠のようなものはある?」
「見たいの?明日あたしのところに来れば好きなだけ見せてあげるわよ」
「今、何か見せてくれないか」
「わがままね~、孝くん、ちょっとだけ待ってね」数分後、祐子さんのメールに添付ファイルがあった。15秒ほどの画質の悪いムービーには、祐子さんのマンションのリビングで裸で抱き合い、激しく腰をぶつけ合う妻と西村らしき男の姿が映っていた
「ああ、先生いい、素敵」激しくキスをするふたり
「美紀、いきそうだよ」
「いいわ、先生、中に下さい」ムービーはそこで終わっていた
「続きを頼む」やっとの思いで私はメールした。痛いくらい勃起していた
「ダメよ、続きはあたしの部屋で」
「わかった。なるべく早く行く」絶望、それを上回る興奮。私はムービーを見ながら何度も襲いかかる射精感に耐えた。それは自分への禊でもあった。
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