部屋の中は静まり返っていました。もう一度トライしよと嫁に少し近づこうとした時でした。
掛けていた布団を掛け直すかのように嫁が布団を巻き込みました。
そっと顔を上げ嫁の背中越しから二人を確認しました。健はまだ爆睡状態でした。嫁の表情は
今一確認できませんでした。もうこれ以上は無理があると断念しました。流石に私も睡魔が襲い
若干ですが寝入る寸前だったのかと思います。 どういう訳かハッと目が覚めました。
一瞬自分でも寝ぼけてしまった感がありました。何気に顔を横に向けようとした時でした。
私の顔の上に布団がかかっている事に気付きました。そして聞き耳を立てると微かに声がしました。
ユックリと顔の所まで腕を動かし手を持ってきました。恐る恐るですが、顔に掛かっていた布団の
わずかな隙間から嫁が寝ている方に目をやりました。まだ自分の敷布団の上に若干は体が残っていた
嫁でしたが完全に健の敷布団に移動していました。声は嫁の声しか聞こえません。
「健君…」という声が確かに聞こえました。 二人は起きたのか?
「健君、健君」と何度か名前を繰り返し呼んでいました。
「健君、寝てた?こんなことしたらダメだよ。」と言っていました。
すると、少し大きめの声で「えっ。」という健の声がしました。
そして「えっ、姉さんどうしてですか布団が?」直ぐには理解できない健の返答でした。
「だって気がついたらね。」「これって。」
「でしょ。ダメでしょ。」「すみません。そんなつもりと言うか。自分でも分からなくて。本当です。」
「そうなの?」「はい。本当です。けど、これって今の状態ヤバイですよね。」
「そうだね。良くないね。もういいでしょ?布団に戻るから。」
「良くないです。けど、もう少しだけこのままでもいいですか?」
「健君、ダメだっていてるでしょ。」「すみません。どうしたらいいですか?」
「今の事は無かった事ね。健君との秘密にしよ。」「はい。」
どうも、健は本当に寝ていたと思いました。私がやったことを二人がお互いに訳も分からい状態で受け取っている
ようでした。嫁も言った通り布団に戻ろうとしたのだと思います。
体を少しお越しこちらに振り向こうとしたので、布団の隙間からではありましたが
目が合う気がして慌てて目を閉じ寝たふりをしました。
その瞬間でした。ガサと音だけが聞こえました。数秒は経ったと思います。
元の布団に戻ろうとしたはずの嫁が近くに来た気配が有りませんでした。
薄眼を開けて二人を見ました。嫁が背中を向けてまた横になっていました。
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