嫁に連絡をした後、30分程して私が家に戻ると健は居ませんでした。
布団も寝室に敷かれているだけでした。短時間で慌てて片付けをしたのでしょう。
嫁も起きていました。リビングのテーブルには飲みかけのグラス等がまだ有りました。
「風呂に入るからもう寝ていていいぞ。」
「食事はいいの?」「適当に有るものを食べるからいいよ。」
私はひとまず冷えた体を風呂に入り温めました。 風呂から出ると嫁は布団に入って
いました。リビングの椅子に座り一人でビールを飲みながら
部屋の外から覗き見た光景を思い出していました。私は知らない振りをすっることで
更に後悔と嫉妬により興奮してしまう自分がいました。
見なければ想像と妄想だけで済んでいたかもしれません。
翌日の朝も嫁は平然としていました。昼ご飯などの買い物に嫁が出かけました。
ようやく私は布団から出ました。 リビングに行くとすっかり片付けがされていました。
台所に立ちコーヒーを入れました。キッチンの隅にゴミ袋が置いてありました。
透明の大きなゴミ袋の中に、小さなゴミ袋も入っていました。
今までゴミをあさった事など有りませんが、中にあった小さな袋を開けました。
ティシュの山でした。そしてその中にティシュにくるまれた避妊ゴムがありました。
改めて昨夜の現実を思い知らされました。二日間の休みの中、嫁からは健の話は
出ませんでした。私も不自然にも健の事についてふれませんでした。
年末最後の1週間が初めりました。会社に行きましたが健は有給処理で出社は
していませんでした。そういえば、健からも何も連絡がありませんでした。
1日の仕事が終わり退社をしている時でした。ようやく健から連絡が入りました。
電話を掛け直しました。健の声が少し嗄れていました。どうも翌日から風を引いて
寝込んでいたようでした。熱は下がり、軽い風邪ですんだようです。
「先週は兄さんも忙しそうだったので帰ってしまいました。」
「すまなかったな。」健の嘘に合わせて返事をするしかありませんでした。
実家には何時帰るのかを聞くと、正月は一旦帰省して荷物の引っ越しは
年も明けてからとの事でした。私は自分で何を思ったのか嫉妬の上塗りをする事に
なる行動をとっていました。それは翌日の夕方に健と合い居酒屋で軽く飲んだ時に
分かった事があったからでした。健がトイレに行き席を外している時でした。
健がテーブルに置いて行った携帯にラインの着信がありました。
無意識に伏せて置いてあった携帯を手に取っていました。
画面を見るとラインの送り主は”ねえさん”となっていました。
送られた内容も文面の数文字までは読むことが出来ました。
「カゼ治った?また連絡してね。無理しな…」までが確認できました。
あの日以来、何も健の事については語らなかった嫁は、健に連絡をしており
風邪を引いていた事までも知っていたのです。健がトイレから戻り暫くしてから
解散しました。私は、二人の会話の内容を知りたくなりました。
今まで嫁の携帯を見た事など有りませんでしたが、その時は何とかして
携帯を確認しようという衝動にかられました。家に戻り、どうやって携帯を
確認しようかと、そのことばかりを考えていました。
その日は、確認する手段もチャンスもなく何もできませんでした。
翌日、一度だけチャンスがありました。嫁が風呂に入っている時でした。
脱衣所のバスタオルの上に携帯が置かれていました。
素早く携帯を取りトイレに入りました。やはりロックがかかっていました。
普段は嫁が携帯を手にしても何も意識しませんでしたが、携帯に手を掛ける度に
手元に目を配りました。ようやく分かった事は、暗証ロックではなく、指の指紋
認証でロックがかかっているようでした。私が思いついた方法は嫁が寝入って
しまった時に携帯に指紋認証解除をする方法しか思いつきませんでした。
嫁が寝入るまで気持ちだけがソワソワしていました。
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