公園のトイレは、男子用と女子用が分かれていたので少しは
安心して、付いて行きました。 私は、外で待っていました。
嫁が、トイレに入り数秒した時、外にで待っている私にも聞こえる
大きさで、「バタン」という音がしました。 扉を閉める音だったと
思いますが、静まり返った夜の公園では、そんな音も大きく聞こえました。
今の音で、男子トイレで寝ている男は、起きないか「ドッキ」としました。
時間にして、数秒だったと思いますが、「起きなかった。良かった。」と
私が、思った時でした。 男子トイレの中から音がしました。 そして、
「ガサガサ」という音がハッキリ聞こえてきました。「外に出てきている」
と感じた私は、急いでトイレの裏側に身を隠しました。 嫁もそろそろ出てくる
どうしよう。そう思っても、短い時間で嫁を救う方法は浮かびませんでした。
こんな、夫婦関係で無ければ、その場から私が隠れる必要も無かったし、隠れる
という行動も無かったでしょう。 その時は、隠れる事しか出来ない夫でした。
トイレの裏に隠れると、女性用のトイレからも音が聞こえました。 嫁が、水を流した
音でした。 そして、小さく鍵を開ける音。次に、扉を開ける音。
一つ一つの音が順番に聞こえてきました。 「どうか、あの男に気付かれないでくれ」・
「どうか、嫁と出くわさないでくれ」そう祈りました。 すると、隠れていた私から
男の後ろ姿が確認できました。 先ほどまで、嫁と居たベンチの有る方に向かって
歩いていました。 私は、嫁に「もう少し、出てこないでくれと祈りました」 大丈夫だった
かと思ったと同時に、嫁の後ろ姿を先ほど見た男と同じ位置で目に飛び込んできました。
男とは、合わなかったにせよ嫁が、その男の後ろ姿をじっと見ているのは分かりました。
そこに立ったまま、頭だけを動かして周りを見る嫁。 外で待っているはずの私を探したのでしょう。
私は、トイレの裏に隠れて見える訳もありません。 周りを見渡した嫁は、無言で男が歩いて行った方を
見ていました。 そのころは、男の姿も見えませんでした。 どのタイミグで出て行けばいいのか、
出て行くタイミグと、外で待っているはずの私が居なかった理由を考えるに必死でした。
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