その4
平日の早めの21時前だったので、客はカウンターに3人で、ママも女の子達もカウンターの中で相手をしていた。当然、同伴出勤のヒロコはいなかった。
21時ちょうどにヒロコと例の男が店に入ってきて、男は当然のように奥のボックス席に着いた。
この時間にいない筈のカウンターの私に気付いたヒロコはギョッとした仕草をして奥に引っ込み、数分で着替えてカウンターの私達客に会釈してボックス席に着いた。
男は横柄な態度で自分の女のようにヒロコの肩を抱き、ヒロコも頭を男の肩に乗せていた。
2人の様子から身体の関係があるのでは、と思わせるような雰囲気だった。
私はボックスの2人の事が気になり、ダンボのように耳を広げて集中した。
男の声は低くて聞き取れなかったが、ヒロコの感高い声は何とか聞き取れた。
「奥さんに悪いわ」とか「店では止めて」とか聞こえてきた。最後の「店では~」って、どんな意味だろうと考えていたら、男は席を立ち帰るような感じだったので、ヒロコに気付かれないように、男より先に店を出てエレベータの横の階段に隠れた。
5分程してヒロコと男がエレベータの所にきた。
「じゃあ、また明日。」「俺の言った通りだろう。俺は麻薬なんだ。今日は興奮して寝れないぞ」意味不明な会話だと思ったが、後で打ちのめされる事になる。
エレベータが来る数秒間だが2人は抱き合ってキスをした。
見てはいけないものを見てしまった感じだったので、階段を急いで降りた。
降りる途中、ママの言葉の「店の女の子を妊娠させた」が頭をよぎった。
ヒロコがあの男に惚れてるのは間違いない。
このままでは寝取られてしまう。いや、妊娠させられてしまう。何とかしなければ。
取り合えず男の後を付けた。すると、店の近くのスパーに入っていたので私も後を追って入った。
人の不幸は蜜の味。次回は私に取って最悪の書き込みになると思います。
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