その二日後のことでした。仕事が忙しく、スーツの下にはジットリと嫌な汗をたくさんかきながら走り回った日のことです。何とかチーム総出で頑張ったおかげで仕事は19時には帰ることが出来ました。メールをした通りの時間に帰り着くと、妻はパタパタとスリッパの音を立てて私を出迎えてくれました。結婚前から同じ笑顔で出迎えてくれる妻。こんなにも愛しい妻が、可愛らしい妻が、私に内緒で村瀬の逸物を・・・そう思いましたが、考えるのをやめました。おそらく私自身麻痺している部分もあったのでしょうが、その時は妻の真実を追究するのではなく、ずっと続いて来た夫婦の甘い時間を堪能したかったのです。
「栄一さんの希望通り、お風呂湧かしておいたからゆっくり汗を流して。ご飯はもう出来てるから。」
食欲をそそるカレーの匂いが立ちこめています。私は妻の言葉に甘え、たっぷり1時間近く湯船に浸かり、その後、妻とその日会った出来事を話しながら食事をしました。
明らかに私は村瀬よりも妻を悦ばせる能力は劣っている。それは分かっていますが、何とか妻の気持ちを取り戻したい、その一心で久しぶりに妻を抱こうとしました。ですが、妻は生理中だからと拒否しました。
それが嘘だということは分かりきっていましたが反論など出来るはずもなく、ごめんねと謝る妻の手を握り、一緒に就寝しました。
その次の日、私は村瀬に再び呼び出され、一番最新の奥さんの声だと告げられると、また紀子の喘ぎ声の入ったレコーダーを渡されました。
私は耐えきれずに車を飛び出すと、自宅に戻るなり妻に強く詰め寄りました。
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