用件を片付け、社用車でそのまま高速に。
オリンピックも終わり、金メダリストのQちゃんの帰国ニュースが流れていた記憶がある。
近くまで辿り着き、コインパーキングに車を入れた。
約束の時間にはまだ1時間あった。
飲食店通りの角地。営業中の電飾看板は置いてなかった。中の様子も外から見えない。
「(店には)まだ来てないかも...。電話してみるか...」と携帯を取り出した。
途中で指を止めた。「いやっ、その前に...。」と家の番号を選んだ。
が、妻は出なかった。留守電に切り替わった。「家に戻ったら携帯に電話して」とメッセージした。
「まだ戻ってないのか?...」不安になった。
今度Tokorotenをコール。繋がった。店の近くにいると伝えた。
「帰ったばかり。待たせず済んで良かったです。」Tokorotenは電話で話しながら店の扉を開けた。
中にはもう1人、電器屋のMontaが来ていた。その時が彼とは初対面。だが、私の事はTokorotenに聞き知っていた。
Montaは自分の店名の入った紙袋を私に手渡した。中はHi8カセット12巻とメモリースティック1個入れられていた。
袋をテーブルの上にあけた。カセットは120分用。ラベルが貼られ、テープにはHかBの記号と数字が書いてあった。
説明を聞いた。ビデオカメラは2つ使ったと言う。
記号のHはハンディで撮ったもの、Bはバッグに隠し、LPで撮ったもの...、数字は使った順番だと聞いた。
未使用のテープが2巻、マメにテープ替えしたのでどれも最後までは使ってないとも。
10巻、1巻あたり3/4使ってるとしてもったとしても14時間。1日の殆んど撮っていたのかと感心した。
この2人、メッセでもカメラや写真が好きな事は知っていたが、ここまでしてくれるとは思ってなかった。
撮れてるか確認もしてないけど、私にそのまま渡す事を優先したと言う。
「こういうの信頼関係が一番だし...、出来るだけの事をね...。」とMontaが言った。
「見てもらって...、もし良ければ編集手伝うし...。楽しみにしてるんで...。」とTokorotenが続けた。
2人に礼を言い、店を出ようとしてた頃、妻からの電話が鳴った。
うたた寝してたと言う。口調はいつもと一緒で安心した。
帰りは遅くなるが飯は軽く食べると伝えると、起きて待ってると言ってくれた。
日が変わる頃、家に着いた。もらった袋は車に置いたままにした。
すっぴんの妻が待っていた。顔を見た。下唇に傷、その部分がプクっと腫れていた。
「よそ見して歩いてたら、人とぶつかった」と言う。
「鈍臭いな(笑)」次に続く言葉が出なかった。
緊張が溶けた安堵感、それとも疲労感...,、飯を食べると、すぐに睡魔が襲った。
それは妻も同じだったようだ。
ビデオは次の土曜まで見る事が出来なかった。
今、マスターも編集後のものもHDDとDVDに移して大事に置いてある。
どんな内容だったか...。伝えたいと思う反面、上手く文字で伝えられるか...。
伝えられそうだと思えたなら...次も...。
(続きはまた)
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