妻を監視しようとは思わなかった。仕事をしている限り、無理なのは判っていた。
ただ、男と飲みに行ってからは妻を抱きたくて堪らなくなった。
仕事の途中でも妻の事を考えては勃起し、トイレで始末した事も何度もあった。
私の妻だと知ったうえで妻が褒められたとしよう。嬉しいかもしれないがその時だけだろう。それにお世辞だと思ってしまうかもしれない。
昔もそうだった。付合ってた頃や結婚当時、人に妻の事を羨ましがられると、確かに嬉しかったがそれだけだった。高価な時計やアクセサリーと同じ、自慢の対象ではあったがそれだけだった。
だが今はそうではない。妻を一人の女として評価し、体を欲している事を男が私に伝えたのだ。妻が素直に評価された。今まで見失いそうだった女としての妻を再認識させてくれたと思った。
きっと妻自身もそうかもしれない。自分を女として見る男がいると知れば嬉しいに違いない。
季節は秋に。あれから、男とは会う機会がなかった。
平静な状況。心が刺激の強い変化を期待し始めていた。
妻を放任している中、すでに何かが起こってるのか、でなければもうすぐ起こるのか。
それはもっと刺激が強く、興奮するものだろうか。
私は男に機器のメンテの依頼をし、そしてまた飲みに誘った。
「どう?その後は。」
「えぇ、まぁ。」
「いい感じでいってないの?」
「えぇ、まぁ。」
「何か揉めちゃったとか?」
「うーん、テレビ観た人に誤解されたとかでね。」
「彼女が人に何か言われたって事?」
「みたいですね。しかも俺のライバルで。」
かなり予想外だった。
(続きはまた)
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