冷静になるにつれ、不倫だと決め付けるのはバカ馬鹿しく思えるようになった。
テレビ番組で知ったという事で動揺し過ぎただけだと。
目覚めた妻には一晩うろたえた感情を晒さずに済み、久しぶりに車で勤め先まで送ってやった。
妻や男は自分が放映されたのを知っているのだろか。
番組を見た人で妻や男だと気付いた人はいたのだろうか。
気付いた人は2人をどういう関係だと思っただろうか。
そして、妻や男に見たことを言うのだろうか。
色んな疑問が湧いてきていた。私に答えの出せない疑問ばかりで悶々とした。
はっとした。前に住んでいた地域では、あの番組が土曜の放送だった事を思い出した。
私は親の住む実家に車を走らせた。ただ単に番組を録画する為に
たった3分程の録画。何度も繰り返し再生した。
男が誰か知りたい。それは探偵に頼むしかないと思った。
仕事先の最寄駅近くにある、探偵調査の看板のあるビルを覚えていた。
意を決し、録画したテープを持込み依頼、匿名での連絡を念押しした。
名前と仕事先だけ、3日で連絡を受け、即行で書類を受け取った。
妻の職場の事務機業者のメンテ担当、4つ下の25歳だった。何故か納得した。
仕事絡みの関係が出来れば、私もその男と近づけると思った。
次の日に何げに業者に電話。午後にやってきた営業マンに男と同じ事務所の名刺を渡された。
メンテ体制を確認、私の職場の担当もあの男だと判った。
そして間もなく、購入機器は男と一緒に納品されてきた。
(続きはまた)
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