股間をブラブラさせた所長が画面の左手に動くと、ラブホのベッドが映し出されました。
写真の時とは違うホテルの、そのベッドの上には…
美代子がいました。
美代子は裸です。
ベッドに横座りした美代子が、時折チラチラとカメラの方に不安そうな、つまらなそうにも見える視線を送っています。
またカメラがガチャガチャと左右に動き、クローズアップされました。
所長がベッドの上の様子をしっかりカメラに収めようと、最適な位置でセッティングしようとしているのだと思いました。
クローズアップされた画面の中で、美代子の姿がさっきより大きく映し出されています。
ちょうど、大きなホテルのベッドの足元が切れてるぐらい。頭は枕元のラブホ特有の照明や音響のスイッチみたいなところまで。ベッドに寝ころんだ人のほぼ全身を捉えられる大きさに落ち着いた画面は、所長がベストフレームだと思ったのでしょう。
所長の顔が大写しになり、にやけた所長がカメラに向かって拳を突き出しました。
その拳の人差し指と中指の間から親指が突き出ていて、その親指がクイクイと動きました。
「やらしい顔してますねぇ、所長」
五十嵐さんが画面を見て所長に突っ込みます。
「オマンコサインだ、ははは」
堤さんはかなり興奮した表情で画面を食い入るように見つめています。
実際、僕もそうでした。
写真が十分すぎるぐらいショックだったことは言うまでもありません。
でも、写真の美代子は生々しくも自分の知らない別の存在だと思いたくなるようなところがありました。
でも、映像として画面に映る美代子は「美代子」でした。当たり前のことですが。
本当に今、目の前にいるような、生中継を見ているような、そんな気分にさせられてしまっていました。
しかも、僕が気になることがありました。
ベッドの上の美代子の髪型です。
長い栗色の髪の美代子が、毛先の方にかけてパーマをかけたのが去年の10月。
この動画に映る美代子は半年前にも所長と関係を持っていたことになります。
ちなみに、これはあとになってわかることですが、このムービーが撮られた前日に僕と美代子はデートをしていました…。
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