五十嵐さんと堤さんが山田所長の机の周りに集まります。
門倉さんもゆっくり立ち上がり、所長席に向かいました。
「おい、鈴木、お前も来いよ。どうせ、お前なんかミヨリンをネタにして毎日オナニーしてるんだろ?」
五十嵐さんがニヤニヤ笑いながら僕を呼びました。
所長席に向かう僕はきっと血の気を失った青白い顔をしていたと思います。
でも、僕はまだ所長の言ったことを疑っていました。
きっと、所長はみんなを担ごうとしていて、実際SDカードに入れている写真は飼い犬の写真か何かで…。
僕はまだ信じきれない思いでいました。
みんなが所長席を取り囲んで、所長がSDカードをパソコンに差し込みます。
そして、所長がマウスをクリックしました…。
そこに写っていたのは…。
確かに美代子でした。
美代子の顔のアップ、ふいに撮られたのか、写真に写った美代子は横顔で笑っています。
(ああ…)
僕は頭を後ろから殴られたようなショックを受けました。
ひょっとして別の物が写っているんじゃないかという僕の期待は裏切られました。
美代子がパソコンの画面に写ると、「おおっ」と五十嵐さん達がどよめきます。
所長はさらにマウスをクリックしました。
次に写ったのは、美代子と所長の二人の顔の2ショットです。
笑顔を浮かべた美代子に顔をくっつけるように、美代子の倍ぐらいある所長のデカい顔が格好つけるようにドヤ顔をしていました。
「所長、これどこで写した写真ですか?」
五十嵐さんが聞くと、
「次の写真見たらわかるわ」
と所長はニヤリと笑います。
画面が変わり、3枚目の写真が写ると、所長の言う通り、場所がわかりました。
3枚目の写真には美代子がベッドの端に腰をかけているところが写っていました。
青いワンピースを着た美代子がピースしてカメラを見ています。
ベッドにはピンク色のシーツが敷かれ、暖色系の照明、ベッドの背後にはテレビやカラオケの機械が写っています。
僕は自分の足が震えるのがわかりました。
そこは…どう見てもラブホテルでした…。
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