鶴田君がチラリと蟹江を見て俺に言いました。
「成美さんが眠るまで油断大敵ですよ。」
この言葉で俺は酒の酔いが覚めて、蟹江の存在にも注意することにしました。
で妻が帰ってきて飲み会が再開。妻は誰か勧める訳でなく、自ら薬入りの酎ハイを口にしました。
蟹江のニヤニヤが止まりません。
しかし、妻の様子に変化はありません。普通です。むしろ、酒が弱い癖に結構ハイペースで飲んでます。
今度は俺がトイレに行きたくなりました。万が一を考えコップの酒を一気に空けてトイレに行きました。心臓はバクバク息子はギンギンです。トイレを済ませてリビングに帰る途中、妻に会いました。
「トイレ、トイレ。」と陽気に言ってトイレに入って行きました。
リビングに戻ると蟹江が再び薬を妻の酒に混ぜている所でした。
「今度は多めにいれちゃうよ。ィヒヒ。」
本当にキモイと思いました。
で、妻が帰ってきて席につきました。しかし、なかなかコップに手が掛かりません。
蟹江がしびれを切らし
「奥さん、お酒どうぞ。」
と全くヘタクソな勧め方に俺はドキドキしました。
直ぐに鶴田君がフォローしてくれて怪しまれることなく飲み会は続き、妻もそのコップを空けました。
そして妻は三回目のトイレへ。
「残り全部いれちゃうよ。」
と蟹江は残り全部薬を妻のコップに入れました。
俺は睡眠薬って直ぐに効くと思っていたので本当に蟹江の薬が効くのか不安になりました。
しかし、妻がトイレから帰ってくると明らかに様子が変わっているのに気がつきました。ハイテンションだったのが、正に睡魔と闘っているのが見て解る状態になっていました。
【うわっ遂にきたよ~】
俺は信頼出来る鶴田君を見ました。鶴田君は静かに軽く頷いてくれました。
「あれ?成美さん眠たくなった?」
「えぇ、少し。でもらいじょうぶれす。」
完全に言葉もおかしくなってます。
「じゃあ、成美さんが、残り全部飲んだらお開きにしますか。」
「はぁィ」
とコップを持ち上げチビリチビリ飲み始めました。
「成美さん、無理しなくていいから、ゆっくりと飲んで…」
「はぁィ…」
妻が時間をかけてコップの酒を飲み干しました。
「それでは、僕たちはこの辺で失礼します。」
と二人は立ち上がり、妻も頑張って二人を見送りました。
二人が一旦外に出て妻様子を見て俺が二人に連絡する計画になってました。
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