続きです。
1時間程眠って目が覚めるとまた妻が離れていかないように、強く強く抱きしめていました。
「博くん、苦しいよ・・」同じように目が覚めた妻。
「だって、離したらいなくなりそうで」
さすがの妻も浮気をされて怒りもしない俺を不思議に思ったようで
「ねぇ、なんで浮気したのにそんなに冷静でいられて怒りもしないの?
私のこと愛してないからじゃないの?だったら止めなくてもいいじゃない・・」
また泣き出し始めた妻。
俺が怒り離婚だ!と言われた方がスッキリしたのでしょう。
浮気した事を話すか悩み、傷つき、話したときの俺の反応を何度も考え、また傷つく。
子供のように泣きじゃくり震える妻を見て、もう嘘をつく事はできませんでした。
「実は・・恭子に理解されるかわからないが・・話した方がよさそうだね」
これまでのいきさつを全て話しました。
妻から向井さんに初めて抱かれた話を聞いた時になんとも言えない興奮を覚えたこと。
向井さんからそのDVDをもらって改めて映像で見て興奮を覚えたこと。
自分の愛する妻が他人に抱かれ俺の時以上に激しく燃えている姿を見て興奮する寝とられ願望なる気持ちが芽生えたこと。それを向井さんに相談した事。
洗いざらい打ち明けました。
妻は勇気をもって俺に嫌われ離婚を突きつけられても仕方ない事を正直に話したのです。
俺も覚悟を決めて話しました。
妻は黙ったままその話を聞いてくれました。
「博くんが。DVDをもらって見てたの知ってたよ。入ったままだったから。でも、そんなに興奮するの?博くん以外の人に感じてるのを見て」
「お前が黙って他の若い男と浮気して、それを後から知ったら興奮も何もなく、怒ってたかもしれない。こんな話もせずに離婚の手続きをしてたかも。
でも、年上の向井さんに抱かれ、初めて本気で感じる姿を見た時に興奮したんだ。
俺には見せないお前の姿に、嫉妬もして俺もお前を本気で感じさせたいと色々やってみたけど、やっぱり無理だった。それから・・」
妻はあのDVDを見て興奮したのではなく、怒っていると思っていたそうです。
それを忘れる為に、夜の回数が増えたと。
さらに、日曜日向井さんが妻を誘った事を月曜日に聞いたこと。火曜日、行くなと言う機会もあった俺はそのまま抱かれる事を望んだ事も話しました。
妻が離婚を覚悟してまで会いに行った事は知らず、今日、向井さんから話を聞いて改めて興奮した事。
今度は妻が愛想を尽かして離婚すると言っても仕方ないと思いながらも話しました。
「なんだ、知ってたんだ・・知ってて知らないふりしてたの?」
「あぁ、まさかお前がここまで考えてるとは思わなかったからな」
「だから怒ってないんだ・・それはわかったよ。でも、また私が向井さんに誘われたらどうするの?黙って見送るの?ずっとそれを続けて我慢するの?無理だよ。そんなの・・」
また落ち込む妻。
これは最後まで話をするべきだと思いました。しかもこれ以上ない機会。
「今日、向井さんと話をしたんだけど、向井さんも恭子の身体を忘れられないって言ってたよ」
「ほら・・ね」少し嬉しそうな妻。
「それで向井さんから提案されたんだ。それに俺の望みでもある事なんだ。
お前が向井さんに抱かれてる姿を生で観たいんだ」
さすがにビックリした様子「えぇぇっ?本気でいってるの?」
「本気も本気だよ。それなら黙って会う事ないだろ?」
「それはそうだけど・・」
「ひとつ聞きたいんだ。向井さんにまた・・抱かれたいだろ?」
少し間をおいて「・・・・うん。でも、それは博くんがいいって言ったからだよ?私はもう博くんと別れて向井さんとも二度と会わないつもりで出て行こうと思ったから」
嘘のない妻の言葉に、話を進めます。
「向井さんがね、夫婦交換をしないかって、今日言って来たんだ」
「夫婦交換?なにそれ?」
「つまり、同じ部屋で、恭子は向井さんと。俺は向井さんの奥さんと。それぞれ相手を変えてするんだ」
「そんなのあるの?向井さんと私?それから博くんが奥さんとエッチしちゃうの?」
「あぁ、向井さん夫妻が望んでるみたいなんだ。あとは恭子を説得してくれと頼まれたんだ。どうかな・・?」
下手をすれば間違いなく離婚。その2文字が頭を過りました。
「博くんは奥さんとやってみたいの?」
「それもあるけど、やっぱり恭子が向井さんに抱かれて乱れる姿を生で観たい方が大きいかな?」
「なんで?そんなに興奮するの?直接エッチするのとどっちが興奮するの?」
やはりすぐには理解できない妻は次々と聞いてきます。
「さっきも興奮したよ。でも、それとはまた違うんだ。お前だってそうだろ?俺とのエッチも愛を感じて気持ちいいけど、向井さんのとは違うって」
その後も質問責めでした。向井さんの奥さんは本当に了承してるのか、このまま私と結婚生活を送ってもいいのか。
「俺もお前も向井さんに眠っていた性癖を呼び起こさせられたんだよ。お前だって精神的にいけない関係と思った方が感じるんだろ?」
「そうだけど・・とにかく、もう眠いよ。もう出ていくなんて言わないから、寝てもいい?
明日考えて返事するから」
「うん。わかった。出ていかないって言ってくれただけでも、俺は嬉しいよ。おやすみ。愛してるよ」
「私も、こんな私を愛してくれてありがとう。おやすみ」
こうして数少ない離婚の危機をなんとか乗り越えた夜でした。
つづく。
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