【2004 1/3】 私が居ても構わず引っ越し業者が来た。純也と健司の机もカバンも、容赦無い。思い出を引き千切られる。
【2004 1/4】 もう悦子の物も何も無い。純也と健司の部屋は魚拓しかない。また釣りに行きたい。
(あ~)覚えている。送られて来た荷物の中に、天井に貼った自慢の魚拓が無かった事を。父が処分したとさえ聞いた。でも父は、日記に記してくれた。心は繋がっていたのだ。
【2004 1/5】 仕事初めも何もない、疲れで早退した。 純也と健司に会いたい。
父の日記が、小間切れの様に短くなってきた。
【2004 1/6】 書けない、つらい。
日付の横に走り書きがだけだった。
冬休みが終わって転向する事になった。そんなに遠くない場所でも、何十キロも離れている様に感じた。父は単身赴任ということになっていた。いじめに合いそうになっても、つっぱつた感じで凌いだ。離婚がバレていたらやられていた。幸い弟のケンカも怪我をしない程度で済んでいた。不幸中の幸いだった。
【2004 1/10】 遅れて来た純也、健司宛の年賀状が。実家のポストに黙って入れておこう。悦子は怒るかもしれないが、純也と健司に私が運んだとわかれば。
(そうか父だったんだ)でも、母が家に取りに行ったとばかり思っていた。今となっては。
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