いつもより早く売場に入り、はやる気持ちを抑えながら椅子の間を確認すると、仕込んでいた一万円札は無くなっていた。
私は心の中で「やった!」と思い、仕掛けた隠しカメラの映像をパソコンに繋いで確認すると、そこには清掃しながら一万円札に気がつく綾子が映っていた。
しかし綾子は戸惑いながらも一旦はレジに仕舞いこんだ。
レジには普段お金が合わない時の補填用にいくらか入れてある。
真面目な綾子は拾得物として申告するつもりなんだと思い、私の浅はかな企みは無駄だったのだと肩を落としながらもレジを立ち上げた時、綾子がレジに仕舞ったはずの一万円札がそこには無かった。
という事は綾子が懐に入れた事になる!?
私は綾子の反応を確認したかった。
遅番で出勤してきた綾子は普段通り変わらず挨拶を交わした。
私「店長、おはようございます」
綾子「おはよう!昨日は遅くまでありがとね!」
綾子から昨日の一万円札について触れてくることはなかった。
本来であればお客様の落とし物である可能性もあるからお申し出があった時に備えて共有するはずである。
その日は他のスタッフにも一万円札のことは確認する事なく1日を終え、私は早番で上がった後店長が上がるまで待つ事にした。
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