そんな私の気配に気づいたのか、彼女が右斜め上に顔
を向ける所作をみせると、理性の箍が外れた私は、背
後から彼女の上半身を両腕で被う様に交差させ、その
首筋に這わせた舌を、更に右の耳孔へと滑らせていた
のです。
彼女は一瞬ピクっと肩先を弾ませたものの、私がその
唇を奪った瞬間には両眼の瞼をゆっくりと綴じ、ワン
ピ―スの胸元から左手を潜らせる私に抵抗もみせず、
レースが縁取る純白のブラ越し、双方の乳房を変わる
がわるに弄り始めると、左脚に重ね組まれていた右脚
を大きく見開くように戻すと、その両足をラグの上で
爪先立てていたのです。
やがて貪り続けた彼女の唇を解放させ、シャワーを促
す私に対し、既に自宅で浴びて来た言う彼女。
その確信を突く言葉が発火点となると、私は彼女の左
手を取り、リビングと隣接する寝室の引き戸を開け入
っていたのです。
ベッドの裾で向き合うように立つと、彼女はそっと私
の腰に両手を回し、私が彼女の顎に左手を添えれば、
再び両眼の瞼をゆっくりと綴じ、唇をこじ開けるよう
に尖らせた舌を潜らせると、自ら舌を絡めて来る彼女
は、ラウンジパンツに浮き彫りにさせた私の漲りに右
手を添え、その屹立の度合いを確かめるかのように、
縦横無尽に優しく愛でていたのです。
夜の帳が降り始めた寝室は仄暗く、ヘッドレストで2
0:00を周ろうとする目覚まし時計の時刻を一瞥し、
彼女の胸の釦を一つ、二つと外し始める私に、重ね合
わせた唇を屋に無に外す彼女は『自分でしますね…』
とベッドの上に畳み置いていた薄いパイル地の肌掛け
を手にすると、再びリビングへと踵を返していたので
す。
僅かばかり開いた寝室の引き戸越し、私は彼女が見せ
る挙動をベッドの裾に座って静視していたのですが、
背中を向ける彼女は、両耳から外した群青色のイヤー
カフをリビングのローテーブルに置くと、それはワン
ピースに散りばめられたリンドウの花の色を拾った物
の様にも映り、パフスリーブの袖を片袖ずつ抜き終え
ると、下着姿を見せる彼女は手にしたワンピースをソ
ファーの上に畳み置き、ストラップの無いフロントホ
ックのブラを外し、後ろ手に回した両手の親指を対の
ハイレグショーツに掛け、半身を屈めながら脱ぎ下ろ
す様は、括れたウエストから、なだらかに続くヒップ
ラインが強調され、ショーツから片脚づつ抜き取る狭
間に僅かに残す黒い毛並みも覗かせ、三つ折りにした
レース使いのショーツとブラをソファーの上に置き、
丸裸の後ろ姿を惜しみなく覗かせ、裸の躰に巻き着け
たパイル生地の肌掛けを胸元で留めると、左手の薬指
にしたプラチナリングを外し、リビングのローテーブ
ルにそっと置いたのです。
やがてベッドの裾で見守る私に向き直し、俯き加減の
顔を覗かせながら、寡黙なままベッドの右奥にその身
を滑らせると、私を背けるように横たえていた彼女。
『此処で奥様ともされたんですか?』と私を背けなが
ら肩越しに問う彼女。
『妻が赴任先に来る事など後にも先にも無いですよ』
と答えた私は、横たえている彼女の躰に自分の躰を添
わせ、左の首筋に這わせた舌を、その先に続く耳孔へ
と滑らせていました。
うっすらと開けた唇から微かな吐息を漏らす彼女に、
私は胸元で留めた肌掛けを優しく解き、露わになった
乳房を左手に弄りながら、その頂で隆起をみせる乳首
を捩じるように摘まむと、顎を仰け反らす彼女は後ろ
手に回した左手で私の弓形になった陰茎をラウンジパ
ンツ越しに握り捕り、徐々に粗く弾ませる息使いを見
せていたのです。
逸る気持ちに、私を背けて横たえる彼女を仰向けにす
ると、想いの外豊かな乳房が外側にたわみ、程よい大
きさの乳輪の上で隆起した乳首を舌先で転がしてみれ
ば、ツンと肥大してみせる頂がグミのような弾力を伴
わせると、その感度の良さを自ら物語っていたのです。
堪らなくなった私はラウンジウェアのTシャツをベッ
ドの下に投げやると、仰向けの彼女に覆いかぶさり、
露わになった乳房を貪る様に舐め回しながら、ヘッド
レストに向けて両腕を上げさせると、剥き出しになっ
た双方の腋にも舌を滑らせ、ゆっくりと下腹部に向か
って舌先を降下させていたのです。
細いウエストラインまで辿った際には、彼女の左脚を
折り曲げる様に膝立たせ、対極にある右脚も同様に膝
立たせると、既に群青の帳の中で、濡れ艶めく女陰を
目の当りにしながら、敢えて焦らすように、鼠径部に
添えた舌を繰り返し滑らせると、そのデリケートゾー
ンからは昨日と同じコロンが体温に煽られながら香り
を放ち、時折り腰を浮かせ、吐息を溢す彼女に視線を
送ると、顎にあてがう右手の小指を甘噛みしながら、
大きく背中を仰け反らせていました。
『あっ!そこは汚な…』私がアナルからほんのり口割
けた女陰へ舌を滑らせると、恥ずかしそうに膝立てた
両脚を閉じようとするのですが、内腿に添えた両手で
更に見開くように押し上げると、アナルの菊の紋様は
勿論の事、大きく口割けた小陰唇に桜色に染まる膣肉
を覗かせると、牡蠣肉エキスのような潤いを滲ませて
いたのです。
指先で見開く女陰の先には小豆大の膨張をみせるクリ
トリスが芽吹き、這わせた舌先を左右に揺らしながら、
その沼地の奥へ潜らせた二本の指で、モールス信号の
ような刺激を与え続ける私に、甲高く透き通る喘ぎ声
をあげる彼女は、群青色に染まる寝室に幾度も浮遊さ
せていました。
やがて膝立てていた両脚が少しずつ震えを伴い始め、
徐々に加速度を上げ、探り当てたポイントを責めたて
ると、大きな喘ぎ声と共に胸元を跳ね上げ、満ち潮の
スプラッシュを放射線状に放ったのです。
エム字に見開いたままの大腿はワナワナと打ち震え、
粗い呼吸を弾ませる彼女の姿態を暫し傍観していた私
は、放心した横顔を覗かせながら、その粗い息使いが
治まるのを見守るさなか『此処で思い留めた方が…』
といつに無く冷静さを取り戻していた私は、既にシー
ツ代わりとなった濡れた肌掛けを彼女の背中越しに引
き抜き、替えの肌掛けを押し入れの引き出しから手に
して戻ると、エム字に見開いていた両脚は真っ直ぐに
戻され、逆手にした右手を額に当てる彼女に、そっと
覆いかぶせていました。
私はベッドの下に投げやったラウンジウエアのTシャ
ツを手に、再び頭から被ろうと、背中を向けた時でし
た『はしたなく汚してしまって、こんな淫乱な女じゃ
萎えますよね…』と言う彼女を振り向き様に見れば、
つい今し方覆いかぶせた肌掛けを払い避け、半身を起
こした躰に品を作っていたのです。
『後悔しない?』と真っ直ぐに彼女の視線と交差させ
る私に、今日はそのつもりで来たと言う彼女。
そして手にした私のTシャツを奪うように取り上げ、
ハーフ丈のラウンジパンツに両手を掛け、躊躇なく引
き下ろしたのです。
そのまま私をベッドへ引き上げようとする彼女に応じ、
踝に留まるラウンジパンツを足の指先で脱ぎ払い、彼
女の傍らで全裸になった仰向けの身を曝すと、半身を
起こした身を屈め、僅かな漲りを残す私の陰茎を左手
に支持し、握り捕えた右手で優しく扱き始めていたの
です。
瞬く間に反応を示し始める私に、時に握り捕る右手の
指にギュッと力を込めると、陰嚢から幹にかけて掬い
舐めるような舌使いを見せ始め、その四方から繰り返
される舌戯はあたかも味わいつくすかの様で、雁首に
舌を添わせ、円周を描いてみせる妙技に私の欲望の証
は著しい屹立をみせ、矢次ぎ早に口腔へと咥えこまれ
ると、激しく繰り返されるスロートと共に彼女の口角
から零れる涎が糸を引き、その淫猥な光景を眼下にし
ながら、彼女が持ち合わせる技巧にも驚く半面、私は
その例えようも無い快感の静寂に堕ちそうになり、慌
てて彼女を仰向けに組み伏せると、自ら両脚を拡げ、
掲げた両腕で手招くような素振りをみせたのです。
ほんのりと口割け、しとどに濡れそぼる女陰に亀頭を
あてがい、ゆっくりと沈めようとする私に『膣外にお
願いしますね?』と眼を背けながら言う彼女。
避妊具の用意すら無かった自分を恥じながら、黙って
頷いてみせた私が、その沼の奥へと沈められる陰茎を
見納めると、私の背中に両腕を回す彼女は、感慨深げ
な吐息を溢したのです。
数年振りに体感する挿入感は魔性の沼地にもピッタリ
とフィットし、まったりと緩急をつけながら突き返す
さなか、私の背中に回す両手の指に力が込められると、
徐々に力強く突き返す度に食い込む爪先の感触を背中
に覚え、その結合部から漏れ出る湿りを帯びた音色が
勢いを増すと、彼女は私の腰を挟み込むように、その
両脚を交差させていたのです。
互いに弾ませる息使いは止む事も無く、いやが上にも
互いの興奮の度合いを示す中、彼女のタイミングを見
計らった私は、緩急をつけたストロークに加え、左手
の親指の腹で小豆大に芽吹いたクリトリスを同時に愛
でり始めると、私の腰に交差させた両脚がブルブル震
えだし、その時を迎える予兆を伺わせていたのです。
『あんっ、あんっ!だ駄目っ!い、逝っちゃう・・』
眉間に寄せる皺を浮かべ、一段と高く澄んだ喘ぎ声を
あげる姿態を眼に、更に加速度を上げて腰を振り続け
た私も限界に達すると、白濁色の結晶を彼女の腹部に
放っていました。
互いに放心し切った躰を重ね合い、乱れた息使いが治
まる迄抱き合っていたのですが、自然と唇を重ね、お
互いの舌を貪る様に絡め合っていました。
ヘッドレストの時計は21:00を裕に周り、互いの
肩を並べて仰向けに横たわれば、小さく灯る天井照明
の常夜灯を見つめる中、束の間の沈黙が流れていたの
です。
『私、どうでした…?』と悪びれもせずに私の右の鼓
膜を擽る澄んだ声に『凄く良かったよ….』と詫びるこ
となく応えると、一瞬の間を置き『私も久しぶりに..』
と如何様にも取れる言葉を返す彼女。
すると半身を起こした彼女は私の膣粘液に塗れた陰茎
を手に、ヘッドレストに備えていたティッシュで、丁
寧に拭ってくれたのです。
再びシャワーを促す私に、余韻を遺したままにしたい
と言う彼女は、私の傍らで自分自身を拭い終えると、
気恥ずかし気にベッドから下り、リビングで脱いだ着
衣をゆっくりとした所作で着直し、外した装身具を付
け終えると『洗面台、お借りしますね?』といつも見
せる笑顔を滲ませ、トートバッグから取り出した化粧
ポーチらしき物を片手に、パウダールームへと姿を消
していました。
私も寝室に投げやったラウンジウェアを着直し、化粧
直しを終えて戻る彼女を待っていると、ものの15分
程度で姿を現した彼女に『小山さん、車呼ぼうか?』
と会社支給のタクシーチケットを渡そうとする私に、
まだ早いし、歩いて帰りたい気分だと言う彼女。
一階のエントランス迄彼女とそぞろ歩き、途中でマン
ションの住人にすれ違うと、動じる事無く『こんばん
わ』とスムーズな会釈さえ交わしてみせる彼女。
『関根さん、洗面台の収納ミラーの中に置かせて貰っ
た物が在るので、後で観て置いて下さいね?』と意味
深な言葉を別れ際に告げ、駅に向かって歩き始めた彼
女。
そんな彼女の後ろ姿を見送ると、私は未だその感触が
遺る陰茎を抑えながら、部屋のドアを開け入ったので
す。
そして彼女が言っていた洗面台の収納ミラーを開けて
見ると、10枚ほどのスキンが一枚の便箋に包まれ、
さり気なく放置されていたのです。
『我が家の残りものですけど、家庭で使用することは
もう無いので、失礼じゃ無かったらこのまま置かせて
くださいね、お酒を飲み過ぎたり、自信が無い時にで
も使って貰えたら…。 恵美子』
私は便箋に綴られた文面を読み終え、今日我が家へ訪
れるに至って、彼女が錯綜させていた私に対する想い
と決意が突き刺さり、胸の中が抉られるような思いで
した。
そして汚してしまったパイル生地の肌掛を洗濯機に放
り込むと、私は再び疼き始める自分の性を直穿きした
ラウンジパンツに模らせ、キッチンで作り直したハイ
ボールのグラスを片手に、まだ彼女の残り香が遺るベ
ッドに横たえながら、何時しか深い眠りの淵に堕ちて
いました。
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