物流センターの住所を聞いて俺の心はざわついた。そこはまさしく俺が勤めていた会社が立ち上げた物流センターの改築工事の話だった。
バブル崩壊で時代の潮目が変わった事を読みきれなかった会社の最初の致命的なミスがその物流センターだった。地元の中堅スーパーの為に作ったセンターはバブル崩壊で銀行の貸し渋りで資金繰りが急激に悪くなったスーパーから当初の見込みの3分の1程度の物流しか業務を委託して貰えなかった上に、一年後には不採算店舗の閉店が相次いで、業務委託を打ち切られた。
その後、この施設の建築費返済、維持経費が会社の大きな負担になっていく。
俺たち営業も会社から連日、何処でも良い、幾らでも良いから契約先を取ってこいとハッパをかけられていたが、世の中のスーパーマーケット事情は大型商業施設の大型店舗もしくはコンビニより少し大きな小型店舗の二極化に進み、地元中堅スーパー用に作られた物流センターはいずれにも中途半端で最早その需要を全く失っていた。
聞けば、ウチの会社を吸収した会社はそこをアニメ、ゲームのキャラクターグッズのネット販売の拠点にするという事だった。
俺はその話を聞いて世の中が変わった事を今更ながら痛感した。
俺が立ち上げの際に業者と苦労してさんざんやり合って設置した冷蔵庫や冷凍庫を解体して商品在庫が一目で分かる半自動の品出しシステムを組み込んだ在庫棚を設置するのだという。
俺はそれを聞いて自分の半生が全くの無駄だったのではないかと打ちのめされた。その時の俺は酷い顔をしていたらしい。
田中さん、田中さん!呼ぶ声に俺は我に返った。
大丈夫?彼女が聞いてくる。
俺は取り憑かれた様にそのセンターを苦労して立ち上げたこと、そのあとに更に苦労して営業しまくった話。そして
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