ライン交換をした日から、朝昼夜と挨拶程度の交換をし、また、毎朝コンビニに通い、直に話すことを半年ほど続きました。
そして、ある金曜日のお昼休み、優子さんから
『こんにちは。明日、本当はお友達とバスで日帰り温泉に行く予定だったんだけと、お友達のご親族に不幸があったらしく、お友達が行けなくなったの。予約勿体ないし、急ですが、明日お暇ですか?良かったら……』
と、ラインが来ました。
もちろん私は、『僕で良ければ是非』と即レスしました。
その後、待ち合わせの時間や場所をやり取りし、仕事が終わり家に帰ると、妻には
「今やっている、プロジェクトの大詰めで、明日、休出になったから」と言うと、時々、仕事の都合で休出することも有り、妻は「了解。頑張ってね」と。
妻に悟られないよう、ドキドキ感をひた隠しに夜を過ごしました。
翌朝、いつもより早く目が覚めて、会社に行く準備をしながら、妻にバレないように、こっそりとカジュアルシャツとチノパンを鞄に詰め込て、早々家を出ました。
1度、会社に行き、ビジネスタイルからカジュアルシャツとチノパンに着替え、待ち合わせの場所へ向かいました。
すでに優子さんは待っていて、僕を見つけると、思いっきり手を振り、素敵な笑顔で迎えてくれました。
「今日は急でごめんなさい。本当に大丈夫でした?」
「ええ、大丈夫ですし、優子さんのお誘いを断るなんてしませんよ」
「ありがとうございます、主人以外の男の人と旅行は初めてで、ドキドキして眠れませんでした」
「そうなんだ、僕もドキドキしてますよ。今日は、僕をご主人だと思って、楽しみましょう」
「ええ、今日だけ、夫婦ですね」
バス旅行の待ち合わせの場所へ向かい、周りを見渡しても、知り合いはいないどころか、夫婦やカップルばかりでした。
受付を済ませ、バスに乗り窓側に優子さん、通路側に私が座りました。
そして、こっそりと優子さんの手を握ると、少しビクッとしていましたが、私の顔を見て手を握り返してくれました。
バスは予約者全員を乗せ、目的地の温泉街へ出発しました。
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