日曜日、俺たちは近所の目につかぬように5つ程離れた駅のショッピングモールのファミレスで待ち合わせをした。
ファミレスならば万一誰かに見られたところで、偶然会ってお茶してたと言い訳がきくし、日曜の昼間のファミレスの喧騒に紛れればある程度の話も出来ると考えたからだ。
ママは白いブラウスに作りの良い薄い水色のカーディガンを羽織り、くるぶし丈のパンツ姿で現れた。
もともと客商売で人前に出ているせいか、歳よりだいぶ若く見えるママだが、今日の若々しい格好でより若く見えた。
ママは先に店内に入ってテーブルに座っていた俺を見つけると笑顔で俺の前に座った。
何かいつもと違う、昼間の時間に顔合わせるとなんだか恥ずかしいわねと微笑む。
俺はそうですね。なんか小っ恥ずかしいですねと答えた。サトちゃんのスーツ姿以外の格好初めて見たわ。やっぱり若いわね。スーツ姿だと落ちついて見えるけど、私服だとやっぱりこの人若いんだわって思っちゃう。とママはニコニコしていた。
俺が小腹が空いたんでパンケーキでも食べようかと思うと告げるとママも私もパンケーキを食べると店員にオーダーをした。
俺たちは学生の様にファミレスでパンケーキを頬張りながら、あれこれ話して笑いあった。
ママは若い頃は相当美人だっただろうと思われる。今でも優しい印象の笑顔とちょっとした仕草の可愛らしさが俺を魅了してやまない。
俺たちはファミレスで2時間近くお喋りをした。さらにもう二駅先にある、最近では全く人気が無いが歴史ある植物園に散歩に行かないかと云う事になり俺たちは電車に乗り植物園に向かった。
植物園は閑散としていた。俺たちは植物園に入るなりどちらとも無く手を繋いで歩いた。
久しぶりだわ。男の人と手を繋いで歩くなんて
ママは笑顔を見せる。
ママは旦那さんとは手を繋がないの?俺が尋ねるとママは少しむくれた顔を見せて、もう、こんな時に旦那の話なんかしないで。それにママって…私は悦子。ママなんて呼ばないで名前で呼んで。お店じゃないんだし。
俺はえつこさんと呼んだ。サトちゃんは下の名前、ヨシヒトだったよね?よっちゃん?ヨシくん?皆んなには何て呼ばれてるの?
俺が友人にはヨッちゃんと呼ばれていると答えると悦子さんは俺に向き直ってよっちゃん!と呼んだ。
俺がおどけて、えっちゃん!と返すと悦子さんは俺の腕に腕を絡ませてはしゃいだ。
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