ママは俺の胸でひとしきり泣いた後、ごめんなさい、シャツ汚しちゃったわと顔を俺の胸から離して、ファンデーションがついた俺のシャツを水を含ませた布巾で拭いてくれた。
そんな事をしているうちに三々五々客が店に来だしてその日は終わった。俺は店を出る際に見送りに店の外に出てきたママに元気を出すように言った。
ママは涙を堪えてから俺を見上げて笑顔を作って頷いていた。
元々、スナックチェリーには常連客で作るグループLINEが存在し、ママが店の臨時休業や開店が遅くなる、等の連絡が入っていたのだが、その日を境にママから俺個人に向けてLINEが来るようになった。
次の日に昨日はごめんなさい。すっかり動揺してみっともないところを見せて。誰にも話せないでしょあんな事。でもサトちゃんに話して少しだけスッキリしましたというLINEが来た。
それに対して返信をする、そうするとまたママから返信が来るという形で俺たちは日に何度かLINEをする関係になっていた。
ママは俺に、どうしても旦那のした事が許せない事や、卑劣な男と一緒の空間に住む事すら我慢ならないこと、冗談だったとただ娘をからかっただけだと卑怯な言い訳をその後旦那が繰り返し、さらに失望させている事をLINEで話して来た。
いつしかLINEはその事件の事からママ個人の悩みや相談といった内容に変わってきていた。その間に店に顔を出すと帰りには必ず店の外までママは俺を送るようになり暫く会話をして帰るようになっていった。
俺たちは互いに惹かれ合っていた。俺はある日、俺を送りに出てきたママに今度の日曜日にお茶でもしないかと持ちかけた。ママは俺に満面の笑みを見せたあと、勿論いいわ。私も沢山話したい事があるのよと言ってきた。
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