スナックチェリーは連日、近所の住人常連客で賑わいカラオケに興じていた。40代の俺はこの店では若手の部類、世話好きのおばさんや下ネタ連発のスケベなオヤジ達の他愛の無い会話は離婚後寂しい日々を送っていた俺には楽しい時間だった。
俺は週に1、2度スナックに通う様になった。チェリーはママと手伝いで常連客の大学生の娘で常連客のアイドル、トモちゃんこと朋美ちゃんが週末に入り、ママの旦那で駅前商店街で婦人服屋を経営する哲夫さんが時おり店2階の住居部分から階下に降りて来て常連客と呑んでいるような感じだった。
まだ残暑厳しい9月の始めに俺とママの関係は常連客から少し変化するきっかけになる事件が起きた。
その日俺は仕事が早く終わり、いつもの様に駅前の定食屋で晩飯を済ませても未だ早かった事もありスナックチェリーに足を運んだ。
店内に入るとカウンターでママが座ったまま空を見つめていた。俺がお疲れ様と声を掛けるとはっと我に返ったママが、ごめんなさい。気が付かなくて。いらっしゃい、今日はサトちゃん早いのねと慌てて席を立ちカウンター内に入り支度しながら俺に話してきた。
俺が、早すぎたかな?未だ誰も来てないね。びっくりしたよ、ママがなんかぼーっとしてて、何かあったの?と聞いた時だった。
いつも常連客と元気に明るくやり取りをしているママがふいにボロっと涙を零した。
ママは慌てて、ごめんなさい。嫌だわ私ったら。もう。お店始まったんだから切り替えなきゃと忙しくおしぼりや水差しを用意し始める。
どうしたんだい?ママ大丈夫?何かあったの?良かったら話してよ。俺は心配になって気丈に振る舞うママに声を掛けた。
ママは何でも無いのよと言って俺におしぼりを手渡す。しかし、俺が頼んだ茶割りを作りながら溜息をつき暫く手を止めた後、俺に向き直って語り出した
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