ママは俺をじっと見つめて
『そんなに簡単に話せる事じゃないわ。あの子も色々大変な事乗り越えて来てるのよ。それはそうと、あなた水商売の経験あるでしょ?』
と言ってニッコリ笑った。
『ええ、学生の頃スナックでボーイのバイトしてました。なんでわかるんですか?』
『見ればわかるわ。酔ったおじ様達の扱いがうまいもの。うちは見ての通り今週は30周年のパーティーで大忙しでしょ。おじさんバーテンダー1人じゃ大変なの。週末の2日間手伝ってもらえない?無理ならどちらか1日だけでもいいわ。お願いできないかしら?』
『そんな、俺のこと何も知らないのに大丈夫なんですか?』
『大丈夫よ。私こんな商売長くやってるせいか、人を見る目はあるのよ。今すぐ決めなくてもいいからその気になったら来て』
『はあ、いや、しかし、うーん』
俺はママの醸し出す押しの強さにハッキリ断れずにいた。ママは俺の膝の上に手を置いて『悪いようにはしないから、お願いケンちゃん』
と言ってウインクした。
『ママ、私のケンちゃん誘惑しないで』
キョウコさんが笑いながら間に入ってきた。
『キョウコちゃんからもお願いして。週末手伝って欲しいのよ。このままじゃよっちゃんが持たないわ』
『あら、男の子どうしたの?』
『だめね。最近の若い子は。もう来ないわ。連絡も無しよ』
『ふーん。そう、大変ね』
キョウコさんは俺の手を握った。
『ケンちゃん、私からもお願いするわ。手伝ってあげて!』
『ほら、キョウコちゃんもこう言ってる事だし、じゃあ、決まりね』
『あ、いや、そんな、えぇっ?』
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