部長。部長!俺は、はっとした。俺のデスクの前に立った部下が俺を呼んでいた。大丈夫ですか?顔色が悪いですよと言いながら書類を手渡してくる。
すまん。ちょっと考え事をしていた。俺は慌てて書類を受け取った。
取締役室から戻って来てから、頭が混乱している。
4人で秘密を共有?4人でセックスを楽しむ?何を俺は取締役に言われたんだろう。意味が分からなくなっていた。
スワッピング、乱行そんな言葉が頭をよぎる。
何とか幾つかの会議をこなして夕方デスクに戻ると、千春のデスクに何人かが集まり千春が書類を片手に何やら話している姿が目にとまる。
千春が取締役とセックスする。煙草をふかしながら、人を見据えてねちっこく話をして来たでっぷりと太った白髪頭の取締役に千春が抱かれる。
あのヤニだらけの口が千春の肌を舐め回す。あの男の股間に頭を沈めてあの男のペニスを千春が咥える。そう考えただけでも頭がくらくらした。
駄目だ。あんな男に千春を抱かせたり出来ない。
千春が俺の視線に気付き、遠慮がちに視線を返してくる。
俺は思わず目を伏せた。
逆に俺は、取締役が連れていたあの女を抱かなきゃいけないのか。
俺は記憶を辿り寄せ印刷会社の営業職の女を思い返した。
千春と違い、すらっと背の高い女だった。
気の強そうな少し冷たい感じのする美人だった。複数プレイを要求する取締役と付き合っている女だ。どんなセックスをするのだろう。
その時だった、〇〇印刷の佐々木様が受付にお見えになっておりますがと内線電話が掛かって来た。〇〇印刷の佐々木。今、まさに俺がセックス最中の乱れた姿を想像していたあの女が来ている槌俺宛に?
何しに来たんだ?俺の部署は〇〇印刷と直接やり取りする仕事は無い。
佐々木というあの女も社内では頻繁に顔は見た事があるが話した事は無い。
俺は慌てて、受付に商談室の空きを確認し、空いている2番の商談室に佐々木を通してくれと頼んだ。
俺が千春に目をやると、千春が心配そうな視線を返して来た。
俺はジャケットを羽織ると商談室に向かう。
何をしに来たんだ?俺は何か不安に感じながら2番商談室の扉を開けた。
お待たせしましたと商談室に入るとそこに佐々木は立っていた。
佐々木は記憶通り背のすらっとしたロングヘアーの目を引く美人だった。
地味な黒のいたって普通なスーツを着ているが、その女性的な身体のラインがかえって地味な服で強調され男好きするタイプの女だった。
佐々木は俺を見やると頭を下げ、お忙しいところ急にお伺いして申し訳有りませんと言った。
俺がいえ。今日はどういったご用件でしょうか?と尋ねると俺の顔を真っ直ぐに見つめて先日の件でと返して来た。
俺は内心焦っていたが、落ちついた声で先ずはお掛け下さいと言った。
部長、私お顔は存じておりましたが、お仕事ご一緒する事無かったものですから、お名刺頂けるでしょうかと言いながら赤い名刺入れから名刺を差し出して来た。
俺は慌てて、そうでしたね。失礼しましたと胸ポケットから名刺入れを取り出して名刺を差し出した。
俺が佐々木の名刺を受け取ろうとした手に佐々木が手を重ねて言った。
取締役から伺いました。
来週楽しみですね。
俺は頭を殴られた様な衝撃を受け目の前で異常なセリフを口走った女を凝視すると女はそんなに驚かれるなんてと笑い出した。
俺はとんでも無い事に巻き込まれる予感に言葉も出なかった。
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