「変なとこで、二回も見られちゃいましたね」
小原さんは気づいていたんです。
でも私は、配送に使う車に社名が横に小さく書かれてるだけ、車の前は見えても横は管理棟影で見えない、周囲を気にする様子もない小原さんでしたから、私に気づいてないと思っていたんです。
でも気づかれていたなら仕方ないと思いました。
「私も仕事で出入りしてる立場的に、小原さんがあのようなとこにいたのを、言うわけにいかないですから、安心して利用なさって下さい」
そう言ったんです。
会社のお客様のお客様ですから。
近所のコンビニです。
周りの目がありますから、私は去ろうとしました。
でも小原さんは食い下がりました。
「時間あるならちょっと付き合ってもらえませんか」
コンビニから離れたとこに、児童公園があり、そこに連れていかれました。
「私には興味ないですか?」
そう言われました。
興味、ないと言えばない、あると言えばある、ただ小原さんと一緒にいた男性が、羨ましいとは思いました。
私は婚期逃した四十過ぎの独身、彼女いない歴も八年になろうとしてる、冴えない中年ですから、小原さんなど手が届かない、高嶺の花と思ってました。
小原さんの旦那さんは、地元では有名でデカい建設会社勤務のエリート。
小原さん自体もいいとこのお嬢さんと聞いてました。
「興味と言われましても」
私は返答に困りました。
すると小原さんは、単刀直入に切り返してきました。
「共犯者になってもらえません?」
共犯者とは、つまり浮気相手の一員になれと言われたんです。
びっくり仰天。
「私、はっきり言います。セフレ、四人います。五人目になって、共犯者になりません?」
小原さんの口からセフレなんて言葉が出るのか、そう思いました。
セックス関連に自信がない私ですから、辞退するつもりでした。
「私など、とても小原さんの相手なんか勤まりません。この通りの独身で、もう何年も彼女もいませんから」
でも小原さんは負けないんです。
「勤まる勤まらないはともかく、口止めもありますから一度、お相手願えませんか」
「いやいや、仕事上でのこと、絶対他には漏らしませんから」
押し問答を数回繰り返しましたが、結局押し切られました。
私も据え膳食ってみようかの下心もありました。
「今日はお休みですか?なら今日早速。私も暇ですから」
小原さんのペースに乗せられました。
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