彼が帰ってきたとき、部屋には僕一人きりでいて、彼女は庭で犬を相手にしていました。
「じゃ、帰るから」
僕が言うと、友達は庭のほうを伺いました。
いつもなら見送りにくるはずの彼女が、なぜか今日にかぎって出てきません。
「母さん」
と友達が呼ぶのを、「いいから」と僕は手をふってさえぎり、家をあとにしました。
肩にかけた僕のカバンの中には、あのとき彼女から脱がしたパンツが入っていました。
二度ともどることのない幸せな時間の、証拠の品と思って、僕は持ち帰っちゃいました。
そしてあのとき、庭でいつものようにしゃがみこんで犬をなでていた彼女のスカートの中の、膝の奥が黒いもので覆われていたのを知っているののもまた、僕一人でした。
※元投稿はこちら >>