コンサートの日です。駐車場で待ち合わせをしてました。先に着いたのは僕でした。すぐに、聞いていた白の軽自動車が隣に停まりました。
出迎えると、別人かと思えるしおりさんが降りてきます。化粧が違うだけで、こんなに違うのかと思うほどおばさんでした。
「私ので行こう。」と僕は助手席に座ります。運転するしおりさんに違和感を覚えていました。お店ではあんなに綺麗に見えるのに、今はただのおばさん。
「タバコいい?」と言われ、彼女はタバコを吸い始めました。「嫌がるお客さんいるから。」と仕事中は吸わないそうです。
しかし、会話が始まるとやはり上手なおしゃべりに騙されてしまいます。「これ使って。」とプレゼントを渡されました。
箱をあけるとお財布が入ってます。「ありがとう。大事に使います。」とお礼を言い、彼女に喜んでもらおうと早速中身の入れ替えをします。
入れ替える姿を彼女はチラチラと見ていました。喜んでいると思ってました。「それ、見せて。」と言われ、手が止まりました。
取られたのは…金融会社のカードでした。「いくら借りてるの?」と口調が強い。「15万くらいかなぁ~?」と交わすように答えました。
すると、「なら、30万ってこと?みんな、こんな時は半分しか答えないから。」と上をいかれました。事実、40万越えてます。
「そんなには借りてない借りてない。」と言いましたが、たぶんもう分かっています。ここから、母親のような説教にも似た会話になります。
「借金して、風俗で遊んでるの?」
「いや、しおりさんだけです。他は…。」
「ダメでしょ。私、うれしくないよ。」
「しおりさんに会いたいし…。」
「あんたねぇ、風俗の女なんかに惚れたらいかんよ。私ら、仕事でやってるんよ?間違ったらダメよ。」
「……。」、何も言えなかった。もう、店に来るなと言われているようなものだ。母親の言葉のように思え、考えさせられてしまう。
知らないグループの野外コンサートだった。車の中では怒ってたしおりさんも、職業病なんだろうか、僕に対して恋人のように振る舞っていた。
帰りは夕方の5時、薄暗くなっていた。車中では、相変わらずのしおりさんの軽妙な会話で盛り上がっていました。二人で笑います。
しかし、現実を考えれば、このまま帰って「はい、さよなら。もう、お店には来ないでね。」だから複雑でした。
「ホテル行こうか?」しおりさんが、会話の中で普通に出した言葉でした。「タイトくん、行くでしょ?」と言うので間違いないです。
山の中のラブホテルに着きました。彼女に連れられて入って行きます。部屋に入ってしまえば、もうお店むたいなもの。しおりさんにお任せです。
ところが、「お風呂沸いたよ。先、入っていいよ。」と言われ、何かいつもと勝手が違う。お風呂にいても、外の彼女ばかり気にしていました。
風呂を出ると、下着姿で窓を開けてメンソールタバコを吸っているしおりさん。その姿は、映画とかで見るコールガールみたいでした。
※元投稿はこちら >>