伝わっているのかどうかは分かりませんが、彼女に対して「好きだ。」と言えたことには満足していました。
そして、何年も会ってない同級生の大平くん、つまりしおりさんの子供の事も気にならなくなっていました。
それどころか、しおりさんを自分のモノにしたい、もっと言えば結婚したいととさえ思い、彼女との二人の生活を夢見るようにまでなっていました。
ほぼ毎週のように日曜日に彼女と会うために、必ず予定は入れないでおきました。もちろん肩透かしをくらうこともありました。
とにかく、お昼を過ぎて彼女が起きてからの連絡とです。その時間になってみないとわからないのです。
その日も、夕方まで待っていました。結局、連絡はなくて、残念な一日で終わるのもあれなので、少しブラリと出掛けました。
7時を過ぎた頃、彼女からメールが来ました。「今日は無理みたい。」、この時間ですからこんな感じのメールだと思い開きました。
ところが「遅くなったけど、どうする?来る?」と書いてありました。更にメールが来て、「うち、知ってる?」と送って来ました。
この日は彼女の家、つまり大平くんの家に行くことになりました。一度だけしか行ったこともなく、それも中学の時です。
かすかな記憶を頼りに、大平くんの家を目指しました。感心するほどにすんなり着きました。玄関の門を開け、玄関に立ちました。
いろいろ考えてしまいます。「大平くんいないのか?」「お父さん不在なのか?」。恐くなり、車に戻り電話をします。
「着いた?入って来て。」と言われ、再び玄関に向かいます。すぐにしおりさんが出て来てくれて、6年ぶりにこの家に入ります。
「誰もいないの?」と聞くと「私、ひとり。」と返ってきて、安心します。
僕は居間に通され、しおりさんはキッチンで洗い物をしていました。「ヒロキ、さっき帰ったのよ。」と、今まで大平くんが居たようです。
その洗い物だと思います。「ごはんは?」と聞かれ、「まだですけど、いいよ。お腹すいてないし。」と答えました。
聞いているのかいないのか、「中華そば作るわぁ。」と言って彼女は料理を始めます。
料理をする彼女の後ろ姿を見ていました。主婦そのものでした。手際よく、料理をしています。この姿に、僕の理想が重なります。
しおりさんが料理を作り、僕がそれの姿を見ながら待っている。まさに理想の姿でした。
「しおりさん、旦那さんは?」気になっていた疑問をぶつけます。「旦那~?別れたわぁ~。女のとこ行った。」と聞き、どこか安心してしまいます。
更に質問します。「しおりさん、子供は大平だけ?」と聞くと、「一人。心配しなくても、(この家)誰もいないわぁ。」と安心させてくれます。
この後、ごはんを頂き、お風呂は別々に済ませました。彼女との夫婦生活的なこの空間がとても心地よい僕は、「泊まっていってもいい?」と聞きます。
「お着替えないでしょ?」と心配されましたが、「会社で着替えるから、このままでもいいんです。」と説明。見事、外泊が決定します。
時間を気にしなくてよくなり、僕達の時間はゆっくりになります。時間を気にして、慌ててセックスをすることもありません。
テレビを見ながら、目の前をパジャマ姿の彼女が行き来し、僕の横でグレープフルーツをほおばっている。素晴らしい時間です。
しおりさんは「ほんと、帰らなくて大丈夫?」と念押しをしてきました。「うん。大丈夫。」と答えると、「フフッ…」と笑います。
そして、「私のアソコ…、壊さんとってよぉ~。」とからかいました。
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